有効な戦略の1つが、特定の市場または製品ラインに集中し、その分野で競合より明らかに優れた存在になることだ。集中化戦略によって、競争優位性をできるだけ高める事に、限られたリソースを集中投下できる。ここで言うリソースには、金銭的リソースだけでなく、それよりはるかに重要な経営陣の時間とエネルギーも含まれる。
集中化戦略は、あなたが「その他大勢」になるのを防ぐ。その他大勢は戦略的にもっとまずい立場に陥りやすい。スケールメリットを享受するには小さすぎる一方、競合より高い価格を設定するほど差別化もできない。中途半端な立ち位置は命取りになる。
もちろん集中化戦略にもマイナスはある。ターゲット市場の規模に応じて、成長には自ずと限界が生じる。景気循環、つまり特定の市場の浮き沈みに振り回されるとと言う問題がある。それに加えて集中化侵略では様々な機会に臨機応変に対応するのが難しくなる。
それでも集中しすぎてうまくいかなくなる企業は滅多にないのに対し、十分集中できずに行きずまる企業はかなり多い。

ビジョナリー・カンパニーZERO ゼロから事業を生み出し、偉大で永続的な企業になる ジム・コリンズ、ビル・ラジアー[著〕 土方 奈美[訳]
日経BP社[2021]
BE 2.0 (Beyond Entrepreneurship 2.0): Turning Your Business into an Enduring Great Company By Jim Collins、Portfolio[2020]