オタキングの岡田斗司夫氏がお勧めしていた本を読み終えた。

「再貧困女子」鈴木大介著 2014年9月に発行されているのでもう10年近く前の本である。

 

ここ数年、東京の大久保公園で立ちんぼをしている女性が話題になったが、それよりもっと前から貧困のために風俗や売春に向かう女性(シングルマザー含め)がいて、その悲惨な状況は社会からあまり理解されていない。

 

読み進めるに従い、世間の無理解と無力さを感じてしまう。

 

幼少期に家族からの虐待や貧困といった経験をもつ少女や、貧困から路上生活に近い状況になってしまった女性にとって、悲しいことに性ワークが彼女らを救う手になっている。

性ワーク周辺者が貧困状態の女性と高い親和性をもっていることが原因である。

彼女らの共通点は、家族の無縁、地域の無縁、制度の無縁であり、精神、発達、知的な障害を抱えている女性も多い。

女性の貧困が拡大し性産業への参入者が増えれば増えるほど、再貧困女子は追いやられて、ますます過酷な売春へと吸収されてしまう。

10年前の現状がこの本のようであれば、現代は外国人を含め、更に貧困によって女性たちが追い詰められる状況だろう。

 

この本の中で気になった個所があった。

 

著者が、あるデリヘル店の店長に「元々風俗界にいる「そこでしか生きていけなかった」女性はどうなってしまうのか?」と聞いた。

店長は「なんでユダヤ人のノーベル賞受賞者が多いのか知っていますか?」と謎の回答をした。

 

「あのですね、ユダヤ人と夜職の女は似ているんです。なぜならユダヤ人は何千年も前から自分の国を追い払われて、どこに行っても迫害された人たちです。そういう歴史の中でユダヤ人が見つけたのは金や土地なんてものは、侵略されたら奪われておしまいってことなんですよ。

 

だから彼らは他人が奪うことができない知識とか教育とかを宗教の中にシステムとして組み込んで、一生お勉強って習慣を当たり前にしました。ノーベル賞が多いのは当たり前ですよね。

でもこれ、女と同じなんですよ。女にとって最後まで奪われない財産ってなんですか?

女であることですよね。風俗でトップをいく子らが、どのぐらい努力しているか知っていますか?

ファッション誌全部目を通して、メイク勉強して、エステしてジム通いして、そうやって女の子は「誰からも奪われない女力」を磨くんです。

女が女を磨く理由は、それが保険だからなんです。

そうやって頑張っている子がいるから、店側も必死でサポートできるんじゃないですか」

 

「では、頑張れない女性はどうしたらいいのか?」…「知ったこっちゃない」と店長。

「プロは努力している。ウリは素人、風俗はプロ。プロを舐めんなって…」

 

どんな世界でも、持って生まれた容姿や才能や努力で、頂上に上がるか底辺でもがく、という事だろう。

 

貧富の差がますます激しくなる日本において、家族から虐待を受け貧困の女性たちは、子どもを抱えながら一人で生活を立てていくのは厳しすぎる。

犯罪も増え、犠牲になるのは弱い者たちである。

 

よくわからないが、最近はADHDの子どもが増えているような気がする。

男子の精子や女子の卵子が高齢化しているとか、農薬の影響なども原因ではと言われているが、本当の所は分からない。

ただ、このような子どもたちが大人になった時、守ってくれる家族や行政システムがなければ、性ワークや犯罪に巻き込まれる可能性があるということだ。

 

再貧困女子が今後は更に増えていくような気がしてしまう。