〈前回までのあらすじ〉
かずぽんが閉じ込められたんだって。


ナースステーションの人に鍵を開けてもらおうと思ったのも束の間。一つ問題があることに気付く。

間違った階に降りたのがバレてしまうではないか!
きっと看護婦さんは笑うんだろうな。それとも呆れてしまうだろうか。いかん!いかんぞぅ!!

そうだ!お見舞いに来たことにしよう。しかしどう考えてもスーツ姿で両脇にパソコンを抱えてる姿はお見舞いスタイルじゃない。この案はダメだ。

妙案が浮かばないため、とりあえず非常口まで逃げ帰る。いったいなんて言い訳をすればいいんだ。
確認のため非常口のドアノブに手をかける。

やっぱり開かない。
あたりまえだ。
時間は残り5分を切っている。もう一つ上の階がこんなに遠く感じるなんて・・・。



「あの~、すみません。間違った階で降りちゃったんですけど、鍵かかってるみたいで開かなくて・・・」照れ笑いを浮かべるサラリーマン風の男がナースステーションを訪ねてきた。歳は30歳前後。パソコンを持っていることからみて、コンピュータ関連の業者のようだ。おおかたこの上の事務室にでも用事があるんだろう。
良くこの階には色んな業者の人が間違って降りてこの場所に救いを求めてくる。全くやれやれである。
「え~開きませんよ。今開けますから」



もう後には引けない。残された道は恥を忍んで看護婦に開けてもらうしかない。ナースステーションの前で深呼吸して腹を決める。

「あの~、すみません。間違った階で降りちゃったんですけど、鍵かかってるみたいで開かなくて・・・」振り返る看護婦。笑いもせず呆れもせず、かといって無表情なわけでもなく複雑な表情で僕をみた。

「え~開きませんよ。今開けますから」



用事を済まして、玄関に向かうかずぽん。ここにはすでに数回来ている。もっと早くに気付けば良かった。ここに来たときに見かける患者はすべて老人ばかり。そうこの病棟は介護病棟だったのだ。
「介護病棟は牢獄」そんな思いを胸に秘め病院をあとにするかずぽんだった。


おわり

(やれやれ・・・)