新しい部位が悪いシリーズに突入です。
「椎間板」です。
椎体と椎体の間に挟まった、繊維質のクッションとか座布団みたいな感じの役割をもつ繊維の塊です。
クッションになったり、動く時の柔らかいジョイント部分になる構造で、軟骨と繊維で出来ています。
大福は皆さんは良くご存じだと思います。イチゴ大福とかの具が入っているやつでは無く、アンコと皮で出来ているシンプルなやつでお願いします。
中心の髄核という部分は水分が多く、ゼリー状で、ここで衝撃を吸収します。大福のアンコの部分ですね。
髄核を取り巻く繊維輪が髄核を保護し、また椎体と繋がっています。大福の皮の部分です。
中心部分の髄核で体重の75%を支え、繊維輪で残りの25%を支えているという話です。
髄核部分には神経も血管も無いので、壊れたら修復はされません。
ついでに、椎間板は水分が多いので、強い圧迫を受けるとその水はジワジワ染み出します。
ですから、染み出した水の分、人の身長は朝よりも夜の方が低いそうです。
寝ている間にその水分は再び元に戻ります。
「ヘルニア」は、状態を示す用語です。脂肪の燃焼を助けてくれるトクホのお茶のアレとは無関係です。飲むとヘルニアを治してくれる「ヘルニア緑茶」とかあったら、多分爆発的に売れるでしょう。ただし、効果を保証するものでは無く、個人の感想ですが(笑
それはそれとして。
「ヘルニア」は「あるべきところからはみ出した」という意味の医学用語です。
ですからはみ出した物によって名前が違ってきます。
「腸ヘルニア」は脱腸ですし、「臍ヘルニア」はいわゆるデベソ、「脳ヘルニア」は脳が頭蓋骨からはみ出ますから、だいたい命に関わります。
私なんかは会社からはみ出て転職し、転職した先から脱出していますから「社会的ヘルニア」です。
自虐ネタはともかく。
椎間板ヘルニアは、大福のアンコ部分である髄核が強い力を受けてはみ出し、神経を圧迫して痛みや痺れが出る病態です。
強い力を受けるか、弱くても繰り返し力を受ける事で繊維輪が傷ついて中身の髄核がはみ出ます。老化で骨が変形して尖った骨が椎間板を傷つけることもあるでしょう。
突然、腰に激痛が走ります。ここまではいわゆる「ギックリ腰」と似ています。
違うのは「神経症状が出る」というところでしょう。
神経が圧迫されますので、しびれや腰以外の部分が痛くなります。
また、ギックリ腰は筋肉が原因の場合が多いので、強い全身疲労があったかどうかもポイントになります。
急性の椎間板ヘルニアは、接骨院や整体ではなんとかなるものではありません。
これを読んであるアナタがセラピストであれば、せめて動けるようにしてあげて、整形外科に送りましょう。
急性の腰痛はそこで見分けるとして、慢性の場合はどうでしょうか。
慢性の腰痛がありました ⇒ レントゲンで椎間板ヘルニアが認められました ⇒ ああ、椎間板ヘルニアですねと診断されます ⇒ 痛み止めを渡され、筋トレを薦められます。
よくあるパターンです。
脊柱という柱は、多くのブロックである脊椎とクッション材の椎間板で出来ています。
位置によって分類され、首の部分は頚椎で7つ、胸と背中は胸椎で12つ、腰の部分は腰椎で5つ、骨盤の一部である仙骨と、一番したのいわゆる尾てい骨である尾骨は1つです。
解剖学や医師の診断は、分かりやすいように「腰椎の1番」とか「頚椎の5番」という表現をします。
脊髄は「すべり症」で説明した、脊椎の一部である椎弓で囲まれた脊柱管の中に詰まっています。
脳から連続して脊髄として脊柱管の中を下り、腰椎2番のあたりから繊維っぽく変わり「馬尾」と呼ばれます。
椎間板ヘルニアは、腰椎の4番と5番の間や腰椎の5番と仙骨の1番の間でよく起こるとされており、その部分で椎間板が突出して、脊柱管が狭窄されて痛みとしびれが・・・
ちょっと待って、何かおかしくないですか?
脊髄が直接圧迫されるなら痛みとしびれが出てもおかしくないでしょう。痛みについては異論がありますがとりあえず後に譲ります。
MRI画像でばっちり脊柱管がふさがっているような場合は納得できますが、多くの人は「なんとなく出っ張っている」程度です。
しかも圧迫されているのは繊維状になった馬尾部分です。
その程度の出っ張りで、しかも糸のようになっている神経が圧迫されるのでしょうか?
ついでにもう一つ。正座をしていると足がしびれます。
神経に圧迫を加えると、しびれが出るのは間違っていないと思います。
でも、痛みは出ませんよね?
神経は圧迫されても痛みは出ない気がしませんか?
神経の出口である「神経根」が圧迫されていて、しびれが出ているならともかく、しかも圧迫しても出ないはずの痛みがあるのは、なんか違う気がしてきませんか?
腰痛の無い人でも70%は椎間板ヘルニアが認められ、逆に腰痛の85%は原因が不明という発表があります。
もしかしたら、アナタの腰痛の原因は椎間板ヘルニアのせいではないのかもしれません。
椎間板ヘルニアがある事実と、その腰痛は直接関係ない可能性があると思いませんか?
それでは、ヘルニアだからと諦めないで、腰痛が改善する方法を探してみませんか?