8 三者構成原則と産業民主主義

1.        三者構成原則とは何か

・ブラック企業への対応の仕方→「個人的対応」ないしは「法的・政策的対応」という回答

・労使関係、労働組合での対応→発想がほとんど存在せず

・その背景には→労使関係の形骸化

・労働法、労働政策は重要な政策課題

・労働立法は労働政策審議会を経由して国会提出→公益委員(学者・弁護士)・使用者代表・労働者代表で構成することを法的に規定

・労使関係が労働立法過程の中に国家の中に制度的に組み込まれること→労使関係の制度化

2.三者構成原則の歴史的起源

・歴史的起源→ILO設立時(1919年:ベルサイユ条約第13編によって設立)

・組織原則:政・労・使

・フィラデルフィア宣言(1944年5月)→「労働は商品ではない」「一部の貧困は、全体の繁栄にとって危険である」

・ILO憲章

・その背景→1914年:第一次世界大戦、1917年:ロシア2月革命、1929年:世界大恐慌、1939年:第二次世界大戦の勃発

・共産主義ソビエト、ナチスドイツ、軍国日本への支持→民衆の貧困が背景に

・ILOの組織原則→政・労・使の三者構成原則

・「労使関係」→「個別的労使関係レベル」「集団的労使関係レベル」「国家を入れた正・労・使からなる制度化された労使関係」

3.三者構成原則と産業民主主義

・三者原則への批判

→男性正社員の利益のみ代表という批判

→女性・非正規を排除、外国人労働者の問題も

・はたらく者すべての利益を守るような組織に

・豊かな労働社会を作るために運動する必要

→多様な労働の在り方、作業スピード、要員配置、生産目標の設定水準などに労働者の発言権が保障され、その決定に労働者が参加可能(産業民主主義(経済民主主義)へ)

・グローバル化の進展→所得格差の拡大、社会の分断

・排外主義的な政権が拡大

・労働組合の役割→ゆたかな労働社会、産業民主主義の復権、平和で安定した社会実現へ

 

9 労働委員会の役割とその機能

1.労働委員会とは何か

・国家による労使関係への介入→制度的には労働委員会(1946 年に設立、49 年に労組法の改正)

・労働委員会制度→使用者側の不当労働行為の禁止、行政命令で正当な労使交渉を強制(基

本的立場の異なる労使の利害を調整)

① 不当労働行為救済に関する審査

② 労働関係調整法に定められた労働争議調整に関する調整(あっせん・調停・仲裁)

③ 2000 年代初頭より始まる個別的労使紛争のあっせん

・労働委員会制度→政(公益)・労・使の三者構成原則(労使自治を尊重)

・団体交渉を無効化するような使用者の行為を禁止→不当労働行為

・2000 年代初めまで集団的労使関係の紛争のみ

2.不当労働行為とは何か

・労働委員会の調査(労組法第 7 条の不当労働行為に該当するか否か)

①        不利益取扱と黄犬契約→労組員であることや労組結成を理由として、解雇や不利益な取扱いをすること(不利益取扱)と労組に加入しないことを雇用の条件にすること(黄

犬(Yellow Dog)契約)

② 不誠実団交を含む団交拒否→正当な理由なく団体交渉を拒否することや、説明を拒否

すること

②        支配介入と経費援助→労組の自主性を損なうような行動をとること(経営者が労働組合に金銭を援助したりなど)

④ 報復的不利益取扱→労働委員会に提訴したことを理由に解雇などの不利益な取扱い

をすること

3.労働委員会による調整とは何か

・労使関係とは?→相互対立関係と相互前提関係(「緊張・対立」「合意・妥協」)

・労働関係調整法→「斡旋」「調停」「仲裁」

① 斡旋:労使の間に入り双方の話し合い、交渉を取り持つ

② 調停:労働委員会が労使双方から主張を聞き取り調停案を作り労使合意を促す

③ 仲裁:公益委員 3 名で構成される仲裁委員会を作り仲裁裁定を作成(強制力を持つ)

・申請の 70%が和解または和解を基礎とした申請取り下げ→30%は救済命令

4.個別的労使紛争処理制度

・労働委員会による個別労使紛争に対する斡旋を開始

・おもな労働問題→「いじめ・いやがらせ」「パワハラ・セクハラ」

・労使合意が不成立→斡旋終了 ・斡旋成功の場合→10 万円程度をうけとって退職の事例も

 

10 労使関係の形骸化と個人加盟ユニオン

1.労働条件の悪化とブラック企業の登場

・大企業の企業別労働組合→「企業経営への積極的協力」(1970 年代くらいから)

・組合としての弱体化、労使関係の形骸化

・不況深刻化への対応→「リストラ・希望退職・早期退職」(1990 年代後半から)