5 「働き方改革」と社会政策
1 「労働は商品ではない」
・ILOの労働総会(1944年:フィラデルフィア)
→「労働は商品ではない」(国際労働機関の目的に関する宣言「フィラデルフィア宣言」)
*人間労働の担い手である労働力→生身の人間から切り離せない存在
2 今日の労働の焦点としての働き方の多様化
・働き方の「多様化」とは?(非正規雇用、非典型労働、不安定就業)
→選択の自由というプラス面ではとらえきれない問題も存在(労働条件の低位性、不確実性も)
・働く側の労働者が選択の権利を
・正規雇用の長時間労働と責任がパートタイム労働を拡大
・ワークシェアリング、ワークライフバランス→政策提起へ
・正規雇用と非正規雇用の格差と距離を縮小する努力の必要性
・法定最低賃金の大幅な引き上げ、労働基本権と社会保障の権利を平等に付与
3 「働き方改革」に求められる視点
・ILO→「ディーセントワーク(Decent Work)」
① 働く機会と持続可能な生計をささえるのに十分な収入
② 労働三権保障と職場の発言の自由
③ 家庭生活と職業生活の両立可能と、労働環境から社会保障などのセーフティーネットの確保
④ 公正な男女の平等という要件
・「働き方改革関連法」
・「高度プロフェッショナル制度」
6 最低生活保障システムと社会政策
1 現代の貧困
・アマルティア・セン→貧しさの診断は容易でないと指摘
・ポール・スピッカー→「いくつもの概念の複合体」
・人間にふさわしい生活を送れない状態
・「役員を除く雇用者」
2 ワーキングプアの増加
・働いているにもかかわらず貧困な人々→ワーキングプアの増加
・新自由主義的政策により「貧困は自己責任」とされる
・「失われた10年(20年)」
・いざなぎ超え(1965年11月から1970年7月までの伊弉諾景気)の景況
3 新自由主義的政策と貧困・格差社会
・新自由主義的政策(1980年代以降)→福祉国家に対するアンチテーゼ
・社会の格差、貧困を是認
・消費不況を解決できない新自由主義的政策→貧しくなればモノ・サービスは買えない
・格差の固定と貧困の増大
4 最低生活保障システムの再構築
・国民の最低生活を保障しようとする社会保障システム→労働・就業の持つ経済的意義と社会的可能性を積極的に肯定
・所得保障だけでは十分な対応は無理
・「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきもの」(労働基準法第1条)
7 国家・地域・家族と社会政策
1 社会政策と国家
・20世紀の国際法上の国家の承認要件→国家の3要素(領域・人民・権力)
・20世紀以降→国民国家が故郷を超えてボーターレスか
・労働問題や社会保障のグローバル化
・EUの事例→加盟国への社会政策立法の促進
2 地方分権と地域における社会政策
・地方分権一括法(2000年4月)
・地方自治体の財政困難を理由に民営化・民間委託へ→保育園・障碍者施設・環境リサイクルサービスなど→民間委託、指定管理者制度(2003年:法人や公共団体以外も管理を可能に)
・公契約条例→公共サービスの質の補償と地域経済振興を
3 社会政策と家族・個人
① 最低基準の設定(労働基準法)
② 予防機能(社会的事故、起伏で貧困に陥らないよう)
③ 最低限保障(回避できない貧困状態)
8 グローバル化と社会政策
1 労働と生活のグローバルスタンダード
・グローバル化と地域統合(ローカル化)の経済
・多国籍企業を中心に最適地生産と国際水平分業の深化→資本が国境を越えて安価なコストと販売市場を求めて移動する
・劣悪で低賃金の雇用機会を国内外で確保し利潤→国内産業の空洞化と雇用の縮小
・米国トランプ政権(2020年)→TPPからの脱退、中国との経済戦争、EUとの摩擦
・ドイツの事例→メルケル政権批判の極右政党(ドイツのための選択肢(AfD)の躍進
・最低基準が未確立なまま競争が拡大
2 新自由主義時代と社会政策
・市場原理主義による資本主義経済自体の危険性
・バブル経済の誘因と崩壊、貧困格差の拡大
3 社会政策の新たな課題
・新自由主義的政策から社会政策を国民経済の基底に
・公正競争を確保するための労働と生活を軸としたルールの確立
・外国人労働者の労働生活にかかわる社会政策の構築も急務に
9 日本国憲法と社会政策
1. 日本国憲法と労働法制
・憲法第27条:「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う」「賃金、就業時間、休憩その他勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」
→労働基準法その他で労働法制の制定を国家に義務付け(立憲主義)
*参考に→自民党憲法改憲草案をどうみるか
2.日本国憲法と社会保障立法
・憲法第25条:「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」
・「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」
・1980年代の臨時行政調査会による「行政改革」路線→老人医療費の有料化、健康保険の窓口負担の導入(本人)
・「構造改革」→「社会保障制度改革推進法」
*「自助>共助>公助」
3.日本国憲法をめぐる深刻な情勢
・安倍内閣(当時)の「日本改造戦略」
① 「日本を世界一、企業が活動しやすい国」
② 「戦後レジームからの脱却」「天皇を戴く瑞穂の国」
・アベノミクス→成功したか?(はたらきやすくなったか?貧困・格差は亡くなったか?)
① 「異次元の金融緩和」
② 「大胆な財政政策」
③ 「成長戦略」