娘へ
ここ数日、親や兄弟の体調不良で
お母さんは大変でした。
お母さんは「失敗しない女」ではなくて、
「失敗が許されない女」です…
なんとかしてくれると期待されてもね…
自分のペースで生活したいのですが…
病気になると、患者さんと医師としての
立場がありますが、
あなたたちは、ちょっと頑張り過ぎではないかと
思いますが、皆が口をそろえて充実していると
言っているので、そこは嬉しく思います。
あなたたちが充実していると言えるのは、
患者さん方から信頼していただけているのを
感じることができているからだと思います。
お母さんは、あなたが医師を目指す過程で
3つのことを意識して育ててきました。
「誠実さ」「患者さんに寄り添う心」
「礼節」の3つです。
1つ目の「誠実さ」ですが、
医学の新しい知識を修得し続けるためには
一生 誠実に学び続ける必要があります。
また、人として患者さんに誠実に対応することが
求められます。
2つ目の「患者さんに寄り添う心」ですが、
誠実さと似ていますが、
患者さんが求める事で、専門外のことがあれば
調べたり、他へ紹介するなどして、
患者さんに不快な思いをさせることなく
手助けできる医師でありたいですね。
癌の患者さんやご家族は、
「癌」という病気になっただけでも
悲しみや恐怖と戦っているのに、
その上、医師にストレスを感じるようでは
辛いですよね。
以前、お若い女性の方が癌で余命宣告を
受けた際に、5年生存率が5%と言われました。
その女性は「だったら私、その5%に入れば
いいんですよね。」と言いました。
すると医師が強い口調で、
「あなた、わかっていますか。
5%しかいないということは、生きられない
可能性が高いということですよ。」
というような内容のことを言ったそうです。
たぶん、医師は同意書にサインをもらわないと
いけないので、女性が希望を持ちたくて言った
言葉を、理解していないと受け取ったのかも
しれません。
その女性の母親は、
そのことで娘がとても悲しんでいた
と、話していました。
3つ目の「礼節」ですが、
たとえ性格が良い医師であったとしても、
礼節を知らなければ、患者さんに不快な印象を
与えてしまいます。
やはり、目上の方には
目上の方に相応しい言葉遣いをした方が
いいと思います。
年々、医学部への合格は狭き門となっており、
小学生からずっと学習塾に通っている子供さんが
ほとんどです。
ですが、どこかで「人生」や「礼節」を
学ばなければ、患者さんとのトラブルが多くなり
結果として、働き辛くなっていくと思うのです。
そういった理由から、お母さんは
あなたたちを中学、高校は塾に通わせずに、
「机上の学習以外の学び」に力を注いだのです。
また一方で、自分が患者になった時の心得として
医師に好感を持たれる患者と
家族でありたいですね。
「この人を治してあげたい｡｣とより強く
思ってもらえるような接し方が
大事だと思います。
モンスターペイシェントなんて…
得はしないと思いますが…
患者さん、ご家族、医師のチームプレーが
うまくいった時に、
強い敵(病気)に勝利できるのかもしれませんね。
(母)