青い空が見たくて 何度も瞬きを繰り返す
自分の視界だけが きっとみんなと違うんだと思っていた
何度も何度も見ようとした 病院にも行った
それでも空は灰色で 青空は見えなかった
周りの大人たちは大声で聞いてくる
見ようとしていない 見る気がない 見る努力が足りない
心の病だと言われ 心の病院にも入れられた
たくさんの薬を飲んで たくさんの質問に答えた
心の中の叫び声は やがて力を無くし 囁くことさえ無くなった
灰色に見えていた空が 青く上塗りされていく
その青は日を追うごとに濃く厚く塗りつけられ
反して心は薄く透明になり 存在自体が分からないほど小さくなった
退院の日に多くの人が祝福してくれた だが笑顔は無かった
空には青空が広がっていた だが美しいとは感じなかった