「総理へ報告したことは一切ございません」

 加計学園の獣医学部新設を巡る問題で、2015年4月2日の加計関係者との面会を国会で追及され、柳瀬唯夫元首相秘書官(現・経産審議官)はこうシラをきっていた。柳瀬氏ばかり注目されているが、もう一人、忘れてならない“記憶喪失”の人物がいる。前川喜平前文科次官から加計問題の「キーパーソン」と名指しされている和泉洋人首相補佐官だ。

 和泉氏は、2016年9月から10月にかけて前川前次官と複数回面会し、「獣医学部の新設について早く対応しろ」「総理に代わって言う」などと圧力をかけたとされる疑惑の人物。参考人として招致された昨年7月の閉会中審査で、このドーカツ発言について「まったく記憶がない」と全否定したが、前川前次官の主張と食い違ったままだ。

「和泉さんは、小泉政権から構造改革特区構想を手掛けてきた特区のスペシャリスト。菅官房長官の覚えがめでたく、特区の専門家として補佐官に抜擢された経緯があります。国家戦略特区についても当然、熟知している。正式決定前に、加計学園が国家戦略特区で獣医学部新設を目指す予定だったことは知っていたはずです」(加計問題を取材するノンフィクション作家の森功氏)

和泉氏は、国家戦略特区の前身である構造改革特区の時代から加計が十数回にわたって獣医学部新設に挑んでいたことを知る立場だ。これまで国会で「私は加計問題には一切関わっていません」という主張を貫いてきたが、とても通用しない。加えて、2013年の第2次安倍政権から補佐官であることを考えれば、国家戦略特区において加計の名が挙がっていることを、安倍首相が強弁する「2017年1月20日」以前に安倍首相と話していたとしても不思議じゃない。

「まったく記憶にない」は柳瀬氏同様、安倍首相を守るための言い逃れなんじゃないのか。柳瀬氏のように、自身の言動について記憶を取り戻してもらわないと膿は出し切れない。和泉氏は今度は証人喚問で洗いざらい話したらどうか。