それは、日本経済の現状を象徴するかのような「薄氷の決定」だった。

 激論は4時間半にも及んだ。10月31日、日銀本店(東京都中央区)で開かれた金融政策決定会合で一部委員が唐突に大規模金融緩和の追加策を提案した。

 「これで平成27年度下期には2%の物価目標の達成が視野に入る」と主張する追加緩和派。対して慎重派は「(国債の買い占めで)市場の流動性を著しく損なう」と猛反発した。

 多数決の結果は「賛成」5人、「反対」4人。まさに紙一重の決定だったが、市場に大きなインパクトとなって伝わり、日経平均株価を前日比で700円以上も引き上げた。

 24年12月末、安倍晋三首相が政権の座に返り咲いて以来、この2年間の日本経済はよくも悪くも「アベノミクス」次第だった。

 中でも長引く円高・デフレにより疲弊しきっていた産業界では、首相が就任前から唱えていた「第一の矢」(大胆な金融政策)への期待が高かった。首相の意をくんだ日銀の黒田東彦総裁は25年4月、「異次元の金融緩和」を打ち出し、市中に大量のマネーを流し込んだ。

 これは「特効薬」として劇的に作用した。為替市場は一気に円安に振れ、平均株価は跳ね上がった。

 相前後して政府は「第2の矢」(機動的な財政政策)を放った。総額10.3兆円に及ぶ巨額の財政出動。これが第1の矢と相まって個人消費をも刺激した。首相官邸のホームページには、こんな文面が誇らしげに記された。

 「すでに第1の矢と第2の矢は放たれ、アベノミクス効果もあって、株価、経済成長率、企業業績、雇用等、多くの経済指標は著しい改善を見せています」
だが、この衆院選を控え、有権者は次のような疑問を抱かざるを得ないはずだ。「経済指標の著しい改善」は、国民の生活実感の改善につながっているのだろうか。たった1票差で決まる金融政策で急上昇するような株価が本当に日本経済の実態を反映しているのだろうか-と。

 確かに、金融緩和による円安・株高は、富裕層を中心とした個人消費を喚起する副次効果を生んだ。百貨店では高級腕時計が次々に売れ、不動産・住宅業界も活況を取り戻した。

 だが、その効き目は新たな「痛み」によってかき消されつつある。

 今年4月、首相は予定通りに消費税率を5%から8%に引き上げた。この景気回復基調なら増税の影響を抑え込めると踏んでの判断だったが、予想以上の「痛み」が日本列島を襲った。

 住宅・不動産業界は、増税前の駆け込み需要の反動減もあり、潮が引くように需要が減った。百貨店などの売り上げも一気に冷え込んだ。円安による生活物資の値上がりも相まって不況感が街を覆った。物価変動を織り込んだ実質賃金は15カ月連続で前年割れが続く。

 ではアベノミクスの前半戦を彩った「2本の矢」とは何だったのか。低金利と株高の状態を一時的に創出するカンフル剤にすぎなかったのではないか。

 そんな中での10月末の日銀の追加緩和は、薬効が切れた末の「禁断の投薬」ともいえる。反対した日銀の政策委員はこう考えたのではないか。「これ以上薬に頼るのは危険だ…」





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