みすてられた島

「みすてられた島」公演へのお誘い
5月の東京公演は、中津留章仁の作=演出で「みすてられた島」です。

http://www.seinengekijo.co.jp/frame.html


とある小島が、ある日突然日本から切り離され独立することに!独立国の準備を始める島の有力者、識者は、憲法づくりに着手する…という近未来劇です。

自分の劇団(トラッシュマスターズ)では喜劇を書いてないという中津留さんが、わが青年劇場の求めに応じて喜劇仕立てにしてくれたのですが、奇想天外な設定とそこで語られる憲法づくりを巡って交わされる事柄の重み、個性豊かな登場人物が織りなす人間模様が、なんとも不思議でおかしな雰囲気をかもします。

一見荒唐無稽に思われる話ですが、実は戦後、連合軍の指示により伊豆大島の人々が「大島憲法」草案作成に知恵を絞ったという史実があったのでした。

世界をみると、ヨーロッパの山の中の町が突然独立を宣言したり、ある地方が国からの独立を求めたり…最近ではウクライナの政変とか、きな臭い場合も含め耳にすることがあります。戦後処理の中で日本を分割する可能性があったという話、現代では原発事故がもたらした土壌汚染が新たな境界線を作り出すなど、日本の国土が未来永劫安泰とはだれも言えません。
しかし、いざ、日本国に属していた島が独立という話になると何か現実離れの感が沸き起こるのが不思議です。

今年劇団は創立50周年を迎えますが、私も劇団生活40周年。今回の出演者では同期の藤木さんとともに最古参となりました。

激変する現代劇の世界で、青年劇場のような社会派の劇団に外部から作・演出を迎えるからには相性が合うかどうか、もちろん大きな要素です。
震災の年、予定していた作品を大幅に書き換え上演した「黄色い叫び」ではじめて中津留さんの舞
台を拝見し、以来話題にし注目させていただきました。一昨年は読売演劇賞を受賞するという、今大活躍の方です。

このところ硬派の舞台が続く青年劇場と、社会問題に果敢に挑む中津留さんとのコンビが取り組む新作「みすてられた島」にどうぞご期待ください!