トム・クルーズはしっかりやってます。きっちり体作って跳んだり跳ねたりいろいろなことをして悪と戦っていました。ただしそのトムと戦う悪役サイドの描写が全く面白くないという欠陥。これかなり痛かったかなと思います。最近、一番良かった悪役は「シン・ゴジラ」の巨大不明生物です。カエルの成長過程かのようにどんどん形態を変化させ、どういう仕組みなのか全く謎なまま異常に強力なレーザービームを口と全身から放出しまくる始末。このふざけ具合、最高に愉快でした。悪役としてはやはりある程度愉快なジョークを言ったり、ふざけたりする感じ絶対必要です。「ダークナイト」のジョーカー、「ダイ・ハード」のえーっと、ハンス・グルーバー、「バットマンVSスーパーマン 正義の誕生」のレックス・ルーサー。個人的にこういうふざけた悪役が大好きなので、この「ローグ・ネイション」の眼鏡かけた真面目な役人みたいなつまらない悪役は物足りない部分がありました。これと比較すると一作目の悪役はとても良かったですね。ジョン・ボイトとジャン・レノの二人組。二作目はダメだったかな。三作目はあのアカデミー賞俳優フィリップ・シーモア・ホフマンを使ってましたね。贅沢です。あれもテイスト的には結構好きな方ですね。で、四作目は太ったロシア人の誰か。あれはダメです。そして本作の眼鏡の役人。これもダメ。ということは1と3だけ良かったってことですかね。ただし、四作目「ゴースト・プロトコル」、これは悪役は地味だったけど、全体的にはコミカルな作風に寄せてたんであれは作品としては非常に楽しめます。そして、本作も前作の作風をキャリーオーバーし、ヒッチコックテイストをプラスした感じですね。悪役はつまんないけど、これも作品としては結構いいです。トム・クルーズもああやって世界中を飛び回っていろんなところに侵入し、死にそうになりながら、何がしかのデータを盗む仕事いつまでも続けていますけど、あれはあれで楽しそうでいいですね。これは「ジャック・リーチャー」なんかとは違って、死ぬほどカネ掛かってていいです。「96時間 レクイエム」だとラストで、ロシアン・マフィアのボスが所有するポルシェ911を盗み、空港へ急行し、離陸寸前のジェット機の前に付いていた車輪にポルシェの後部をスピン走行によってぶつけて破壊し離陸を阻止するというアクロバット走行披露していましたが、あれに使ったポルシェ、あの当時でも結構古いから中古で四百万円台でしょうけど、本作でボコボコにしていたBMW M3は現行の新車でしたからクルマの値段対決だとそれ1100万円くらいなので「ローグ・ネイション」の勝ちです。ただし、壊すクルマの値段最近だとこんくらいが最高でしょうね。「ゴースト・プロトコル」でも二千万くらいのi8が出てましたけど、あれもキレイに傷一つ付けずに使ってましたし。昔はあのくらいのクルマは平気でぶっこわしてました(例「ザ・ロック」)が映画業界も変わってしまったものです。