(征司郎)





蓮のお母さんが来てくれて


放心状態だった母さんが


少しシャンとした。


お風呂に入り、化粧をして


そして喪服を着付けてもらったところに


葬儀社の方々がいらした。





父さんを・・・


お湯で綺麗にしてくださるという。


僕と母さんも手伝わせてもらえた。


穏やかな父さんの


まるで眠っているかのような様子は


苦しみから解き放たれて


天国へ行けたのだ・・・と


そう思わせてくれた。






その間。


家のこと


クリニックのこと


全て蓮が取り仕切ってくれて


父さんと僕らの残された時間を


大切にしてくれているのが分かった。





お昼休みになって


クリニックで働く皆さんが


次々と父さんに


「おかえりなさい」と


温かい言葉をかけに来てくれて


自宅に一度連れて帰ってきて


よかった・・・と思った。





友引を避けて


お通夜は明日の夜


告別式はその次の日、となった。


菩提寺には明日からお世話になる。


その車の手配や


お役所に届けるものなども


蓮が万全の対応をしてくれていた。





クリニックは


明日・明後日のお休みを決めて


ホームページに


訃報を載せて以降は・・・


次々と弔電が届き始めた。


懇意にお付き合いくださる方々は勿論


この地方出身の議員さんなど


普段はお付き合いのない方からも


たくさん届いた。 


そのあまりの数に


父さんとどれだけ親しい間柄だったのか


息子の僕でも分からない人も多く  


母さんと相談して


失礼のないように・・・と


もう来てくださる方全員に


お返しを用意することにした。





だけど、蓮が。





蓮「勿論お礼をすることに賛成だけど


ここ三年ほどの年賀状に目を通しても?」


渡海母「はい」





蓮は父が生前にお世話になった人を


一覧表にして関係性を頭に入れ始めた。


僕も母さんも一緒になって整理した。


それは父さんを偲ぶ


かけがえのない時間となった。






親戚


医療関係者


・渡海クリニック従業員

・鹿島近辺の提携医療機関関係者

・東城大学関係

・その他製薬会社等お世話になった方


友人


・学生時代

・その他


その他




この表が後に大いに役立った。




「死」は


その人を浮き彫りにする。


人はひとりでは生きられないから


人間は、人と人の繋がりの中で


その人生が繰り広げられるから


父さんの・・・


その人らしさが


関係図からも見えてきて


さらにいただくメッセージの


その丁寧な中に見える人々の


お心の温かさに


改めて


父さんの大きさを知った。





蓮「すごいな」


征司郎「うん」





僕らはまだまだ道半ば。


この先にも


人生の道が続いて行くんだよ・・・と


それらが教えてくれていた。







丁寧に書きたいので

続きの連載を17日以降にいたします。


いつも有難うございます。