あっつい。

  




ジメジメとした・・・


湿った空気がまとわりつく。





ポタポタと汗が滴るのを





和「ほら。目に入っちゃうから」


智「・・・わりぃ」






コイツが拭ってくれるままに・・・






蝉の大合唱を聴きながら・・・作業する。





おかげさまで


片付けはどんどん進んでった。






和室の畳とか障子とか襖とか


紙や木で出来ているものはそれ自体


何か表現するのに使えそうだったし


庭の木を伐採しては枝を落として


大きな幹と睨めっこして・・・






智「・・・はぁ・・・」






なんか・・・こう・・・


表現したいものが


朧げに浮かんでは・・・






智「いや・・・違うんだよな・・・」






形にできないでいた。






和「智。麦茶、冷えてるよ」


智「ん」






首からかけた手拭いで


汗を拭きつつ


冷えた麦茶を飲んで


手が止まったそれを見てた。





ガラクタ・・・にしか


見えねぇな・・・






和「・・・燃えるゴミに出せるものは


ガレージに寄せといてね」


智「・・・ん・・・」






頭に手拭いを巻いて


テキパキと働く和は


片付けも掃除もゴミ出しも完璧だった。





料理も洗い物も


進んでなんでもやってくれた。






なんでも出来る和と・・・




なんも・・・できない俺・・・





和「ほら。智は手を動かして」


智「・・・ん・・・」





伐採した木の枝を落とすとか


そういう作業のあるうちは、まだよかった。







そこから何かを産み出そうとして・・・






和「・・・♡・・・」






キラキラの目を向けられても・・・





なんも・・・


なんも・・・


期待に応えられねえまま・・・






智「・・・ごめん・・・


ちょっと、散歩してくる」





何も生み出せないでいるのが


苦しくて・・・


悔しくて・・・






それらしいものを作っても


なんか、こう・・・違くて・・・






さっき、いじったものを


ガレージに出す。







和「いってらっしゃい」


智「・・・・・」






廃材さえ手に入れたら


カタチにできると思っていた。





甘かった・・・





婆ちゃん家は


どんどん片付いていくのに


俺は・・・全然ダメで・・・





全然・・・


まだ何も・・・





生み出せないでいた・・・