ふと目が覚めると、景色が変わってた。




車窓の向こう。


遠く山の麓まで田んぼが広がって


白鷺が優雅になんか・・・食ってる?


ずっと向こうの山々は


なんかこうどっしりとして


手前の田んぼと同系の緑なのに


色が・・・なんだろう。


黒っぽいというのかな・・・


何個か絵の具を混ぜたら


あんな色になるよな・・・


なんて


ぽーっと見ていた。





和「サンドイッチ、食べよう」


智「うん」




どうやら名古屋を過ぎて


岐阜の辺りならしい。


東京、神奈川、静岡、愛知、で岐阜。




和「浜松の乗り換えが大変だった。


智、寝てるんだもん」


智「どうやって運んだの?」


和「声掛けて・・・


脇から支えて・・・


あなたさ、立ったまま寝るって」😂


智「それは、悪かった」




お前の起こし方が優しいから。


母ちゃんだったら大声で




「智!」なところだ。





和「ふふふ。おばさん、きっと。


今頃寂しくなってるよ」


智「ひとり片付いたと思って


せいせいしてるよ」


和「だけど寂しくなるんだよ」


智「なんで?」


和「そりゃ・・・智のことが


・・・好き///・・・だから・・・」





その・・・主語は・・・


・・・母ちゃん・・・だよな・・・


俺、頭悪いけど


それくらいの読解力は、ある。


んだけど・・・





和「・・・じっと・・・見つめないでよ」


智「・・・・・」





頬を紅く染めて


身長も座高も変わらないのに


なんでお前・・・


俺のこと


そうやって甘く見上げるんだ?


いつも・・・


今も・・・





♬次は終点大垣〜大垣〜


乗り換えのご案内をいたします。


米原行きは14時10分。


1番線からの出発となります。





和「ほら。食べちゃって」


智「うん」




トマトとハムとレタスとチーズが


パンの間にぎゅっと詰まってる。


ほのかに香るのはバターとマヨネーズ。




和「珈琲、どうぞ」


智「ありがと」




その大垣で乗り換えて


さらに米原で乗り換えたら


周りの言葉は関西弁に変わってた。


あちこちから


うちの婆ちゃんみたいな言葉が


次々と飛び交う。






あんた


ほれ、急ぎーな


ちゃうちゃう





和「智のお婆ちゃんの言葉だね」





そう。


うちの婆ちゃんみたいな


うちの父ちゃんみたいな


柔らかい、あったかい関西弁が


当たり前に飛び交う。





和「大阪駅で降りるの?


JRの最寄りは、大阪駅?」


智「ここで阪急に乗り換える」


和「阪急?


わわわっ。ここ、新宿みたいに大きいね」





JR大阪駅から


阪急梅田駅まで歩くのに


俺ら東京から来たのに


まるで田舎から出てきた高校生みたいに


キョロキョロした。





和「大阪ってすごいね!」





そうか。


和は。


関西はハジメテだ。


俺。


しっかりしないと!





和の手をぎゅっと握りしめて


記憶を頼りに・・・


え、と。


確かこの橋を渡って・・・


Mの店をななめ下に確認して・・・


ほんで、宝塚歌劇の派手な看板。


いつもの目印。


合ってる合ってる。


小豆色の電車には


なんとか辿り着いた。





大阪駅も変わりましたよね

和子、迷子にならずに行けるかな😂

京都〜淡路四国辺りでオススメのところあったら

教えてくださいませ。