(お部屋の和)





18歳の誕生日。


父さんと母さんが天麩羅ではなく


唐揚げをあげている。


普通の、普通の、家庭料理。


ポテトサラダに、ポタージュ付き。





「今年はハンバーグじゃないんだね」




そう。


毎年毎年、誕生日はハンバーグだった。


誕生日じゃなくても。


週に二回はハンバーグだった。





「たまには唐揚げも良いだろう」


「ケーキ🎂も手作りかい」


「今の季節、いちごがもう輸入もので


果物屋さんのオススメをのせました」





果物盛り合わせ。


メロンとチェリーものってる。


・・・美味し。




なんだかんだ。


爺ちゃんも婆ちゃんも嬉しそうにして


父さんも母さんもウキウキして


そして・・・


他でもない・・・智さんが。


うちに馴染んでいるの、半端ない。


もう完全に、家族みたい・・・





「って、おい。家族になるんだろ」


「そうだけど・・・」


「和くんの大切な人は


ワシらにも大切なお人なんだよ」





・・・そっか。


・・・そうなんだね・・・





・・・家族・・・





智「では、行ってきます」


和「行ってきます」




「楽しんでおいで」




祝ってもらって


夢の国に遊びに行くのを


気持ちよく送り出してもらって


あっという間に隣の県に入った。





和「今から行っても夕方だよ?」


智「ふふ、うん」




着いたのは。


浦安の・・・高級ホテル・・・




和「え、お泊まり?」


智「18歳の誕生日だ。楽しもうぜ」


和「・・・・・」


智「・・・どうした?」


和「・・・いや・・・あのさ・・・」





高層階へ上がっていくエレベーターから


夕焼けに染まる東京湾と


羽田へ帰る飛行機が見えていた。




*ララァさんのお写真です*





(愛の釣り人)






愛しい和が語ってくれたのは。






和「うちは。


東京でも千葉に近いところにあるから。


夢の国に遊びに行くって言っても


ホテルに泊まる必要性がなくて・・・


そもそも。


こんな贅沢に慣れていなくて・・・」


智「ふふっ。うん」


和「・・・お金・・・


使うのも使わせるのも、苦手で・・・」


智「俺も、さ。


毎日毎日カレー作って、絵描いて


その繰り返しだから


いつも贅沢をしている訳じゃ、ないよ」


和「うん」


智「だけど。


親御さんの家では・・・その・・・」


和「・・・うん・・・?」


智「・・・やりにくい、というか」


和「・・・あー///」


智「18歳になるの、ずっと・・・


ずっと、楽しみに待ってたから・・・」


和「うん///」


智「ここ。パーク内のホテルより


ずっとリーズナブルなんだよ」


和「うんうん」


智「だけど、お前が落ち着かないのなら


お家に・・・帰ろうか?」


和「え?!ダメだよ。


当日キャンセルなんて100%パーになる。


もったいないもん」


智「じゃあ、泊まってくれる?


・・・俺と・・・」


和「うん///」




・・・よかった。




智「これからも、さ」


和「・・・うん?」


智「さっきみたいなの


なんでも言ってくれる?」


和「さっきみたいなの、って?」


智「うちじゃ、こうしてた、みたいなの。


今までと違うところもあるだろう?


そういうの、さ。


言葉にしてくれないと分かんないから。


言ってほしい」


和「・・・逆も・・・」


智「あ、俺のこと?」


和「うん。知りたい」


智「こうやって。


ひとつひとつ。擦り合わせてさ」


和「うん」


智「家族になって行こうぜ」


和「・・・うん///」





・・・家族に・・・






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