(愛の釣り人)





和が18歳になるカウントダウン。


成人するということは


自由が増える、ということ。


そして責任も増える、ということ。


とりあえず、そこまでを頑張ろうと


短期ゴールを6月17日に設定した


俺は・・・


和の高校生活をサポートするべく


お爺さんお婆さん、高校の先生、松兄


という前回掴んだ人脈を頼りに


和の周りの人々へと


手紙を添えてお菓子を届けてもらった。


とにかく三月の卒業までのサポートを


ガラスの十代の和が


未来に向かって着実に歩めるように・・・


と、頼み込んだ。





本人へのサポートも怠らなかった。


逢えない寂しさを


日々のやり取りで補い続けた。


毎晩のカウントダウン。


真面目に仕事を覚える様子を


松兄から教えてもらっていた俺は


和が喜ぶプレゼントを考えに考えた。


己の欲求はひたすらに・・・


絵に閉じ込めることで昇華しつつ・・・





翔「あ!いらっしゃいませ」


和父「やぁ。また来たよ」




すっかり、うちの常連さんとなった


和のお父さんは。


ご自身の休みの日には


ゆったりと珈琲を楽しむ・・・


なんてことをして


翔くんや潤とも顔見知りになっていた。


俺は。


あの「はじめまして」以来


釣りにも再びご一緒させてもらったし


調理器具の買物にも同行させてもらった。





智「・・・誕生日会、ですか?」


和父「うん。18歳になるからね」





六月のお誕生日会にお呼ばれしたのは


五月半ばのことだった。


もう。


和の両親は完全に白旗をあげていて




「和也が望むなら」と




俺との交際も認めてくれる方向だった。


逆に心配されたのは


俺の覚悟、というか


どれくらい真剣な想いなのか


ということ。




和母「あの子の想いに応えられますか?


あなたは和で本当にいいのですか?」


和父「あの子は見た目には可愛らしいが


男の子だということを


ちゃんと分かっているのか。


分かった上で愛せるのか?」




智「僕の生涯をかけて


和也さんを大切にします」





和父「・・・それは。


あの子に言ってやってください」




お母さんは涙ぐまれて


何度も頭を下げてくださった。


俺も、頭を下げた。






俺は。


この逢えない40日間に。


ご両親公認の、和の彼✨に昇格したんだ。




*ララァさんのお写真です*




6月16日から20日まで


Gallery OHNO〜*を休みにした。


迎えに寄ってくださったお父さんの車で


京都東から名神、新名神、伊勢湾岸道


新東名、東名を乗り継いで約七時間の旅。


夕方。


東京のご実家に着いた。





お婆さんの手料理をいただいて


和の部屋に荷物も置かせてもらった。





お婆さん「今日は神楽坂のアルバイトで


あの子の帰りは22時を過ぎます」


お爺さん「待つ間、何もないところだが


町の銭湯にでも行きますか?」


智「銭湯ですか。それは、いいなぁ」




お爺さん、お父さん、俺の三人で


サウナ付きの銭湯に行った。


もうすっかり婿状態の俺。


湯上がりの瓶牛乳までのフルコースを


しっかり堪能させてもらった。




いざ、帰ろう、となって。


湯あたりしてしまったお爺さんを


お父さんと交代で負ぶいながら


荒川の支流、中川沿を進むと


空には満天の星が煌めいて・・・




和父「17日になりました。


あの子を、宜しくお願いします」


智「こちらこそ、宜しくお願いします」





17日を迎える瞬間に


ちょっと間に合わなかったな・・・




だけどこれから先。


来年も再来年も、ずっと。


ちゃんとその瞬間を


一緒に迎えてやるからな・・・なんて


その満天星の下・・・




和爺「いやー、悪いね」


智「いえ、あとちょっとですよ」




もう。君は・・・


眠ってしまったかもしれないな・・・


と思いつつ、一歩一歩進んだ。