(熱血の相葉!)



新しい学年が始まって最初の日。


太陽は燦々と輝いて


澄み渡る空に桜の花びらが舞っていた。





その神楽坂の料亭の傍にも


見事な桜の木があって


道行く人も立ち止まって写真を撮るから


ひとりで立っていても


誰にも不審がられることはなく


時々お散歩のワンちゃんが


俺の制服の裾で遊んでいくのを


ヨシヨシ・・・なんて撫でてやると


「お花、綺麗に咲きましたね」


飼い主のおばさんが話しかけてくれて


ちょっと間が持った。






雅「・・・あ・・・」


和「・・・あ・・・」





お店の厨房のお勝手から


ゴミを持って出てきたお部屋の和と


ばっちり目が合った。





和「・・・え・・・どしたの?」


雅「どしたの、じゃねーよ。


お前、こんなとこで何やってんの?」


和「・・・バイト・・・」


雅「高三の、こんな大事な時期に?


お前ん家、困ってないだろ?」


和「・・・・・」




無言で。


回れ右をして。


ドアを閉めようとするから


慌ててその腕を掴んだ。




雅「ちょっと、待ってよ」


和「・・・あのさ。


そっちのものさしで測られるの


こっちは迷惑なんだけど・・・」





ぽつんと言われた「迷惑」に


ちょっと怯んだけれど


この高三の大事な時期にバイトだなんて


それはないだろうって


勢いを止められずに続けた。





雅「受験は、どうすんの?」


和「進路希望、大学じゃないし」


雅「専門だって、試験あるだろ?」


和「調理師の学校、行くんだ。


うちの親も調理師だし。


ここで修行させてもらってるの。


バイトしてるのも、親公認」




・・・あ・・・




雅「・・・そう、か・・・」


和「うん」


雅「・・・ごめん・・・」


和「ふふ、うん」





桜の花びらの数だけ


人には生き方があるって


誰か歌ってたな・・・





雅「何時まで?」


和「遅くまでだよ。


あと半時間くらいで休み時間あるけど」


雅「そこのコンビニで待ってる」


和「了解」





お部屋の和も


ちゃんと考えているんだな・・・


高三の四月というところに


一緒に立っているようで・・・




なんか・・・


自分は置いていかれているみたいな


お部屋の和の方がずっと


未来に向かって


着実に歩いているみたいな


そんなことを感じた。





*ララァさんのお写真です*







和「お待たせ」


雅「おつかれ。休憩は何分?」


和「45分」


雅「ふーん」


和「賄いを折に詰めさせてもらったから


お花見しようよ」


雅「え!マジ?いいの?」


和「うん」





賄いって言いながら


料亭の仕出し弁当じゃん。


テンション上がる。


俺たちは神楽坂から少し歩いて


千鳥ヶ淵に出ると


桜の木の下でその弁当を広げた。






雅「あのさ。どうして、京都?」


和「親が。京都に異動になってね」





改めてもう一度


お部屋の和を見た。


そこに迷いはない。


淡々と「京都」って言う。


小さな口に玉子焼きを運んで


もぐもぐ食べる姿は


幼稚園の頃の和くんに重なるけれど・・・


前髪が春の風でふわっと上がるたびに


琥珀色の瞳が見え隠れする。


桜の花がこんなに似合う男って


他にいる?ってくらい・・・





和「バイト、遅くまでだから


もう先に帰ってね?」


雅「うん」





ご馳走さまをして


さっきの料亭まで


一緒に並んで歩いていくと





和「・・・・・!!!」





お部屋の和が急に立ち止まった。





その視線の先には・・・





碧色の着物をさらりと着こなした


大人の男の人が


桜色の着物の女性をエスコートする姿。





雅「どうしたの?」


和「ううん。なんでもない。


じゃあね」👋




お勝手から


お店の厨房へと戻って行くお部屋の和に


西陽が差し込んで・・・


肌はまるで降りたての白雪のように


真っ白に輝いて・・・


琥珀の瞳が憂いを落とす。


まるで大人みたいな顔をして・・・


パタンと閉じた扉にも


桜の花びらが追いかけていく。





幼稚園から一緒だったお部屋の和を


急に大人に感じながら・・・


JR飯田橋駅まで歩いて


そこから総武線に乗った。




ふーっとため息を吐いて


リードAの例文に目を通すフリをした。




高三だから勉強する。


大学入試があるから勉強する。




それが誰にとっても当たり前ではないと


初めてちゃんと認識して・・・


俺はまだ。


将来、なんになるかも


見えていなかった。






振り返れば幼稚園まで続く一本道。


だけどこの先の道は・・・


別々なんだな・・・って・・・


そういうものなんだな・・・って・・・


桜舞い散る中


大人の階段を昇りはじめた幼馴染に


教えられたんだ。





💚💜💛💙❤️


ひらひらと花🌸が舞う日に

五人連名でのお知らせ😭

『嵐新会社設立』のパワーワードの強さよ・・・


全力で応援しますよ(^^)


おめでとう🎊嵐

ありがとう😭嵐


💚💜💛💙❤️