(風磨)



・・・あ。


・・・寝てた。




雪はもう止んだみたいだ。


空気は冷んやりとしていた。


何時だ?


携帯電話の時計を見る。


明け方の5時。


隣には櫻井先生。


グー・・・スピスピスピ・・・と


豪快なイビキをかいて眠っている。





ということは。


和先生はこの襖の向こう・・・?




ドキドキしながら


ゆっくりゆっくり襖を細く開けて


隣の柔道場をこっそりと覗いた。


手前には・・・松本先生。


彫刻みたいに綺麗な顔で静かに眠っている。


じゃあ奥に


和先生と大野先生・・・?


お布団がふたつ。


こんもりしているけれど


イビキも寝息も聞こえてこない。


随分と静かに眠るんだな・・・と


じっと目を凝らして見たけれど


だけど月も出ていなくて


雪あかりだけで薄暗くて


あまりよく見えなかった。





っくしゅん。


やっべ。


静かに、静かに。




襖をそーっと閉めて


櫻井先生の隣の布団にしずしず戻る。


雪が積もっただけのことはあって


とても冷え込んでいた。




太陽が昇ってきたら。


和先生をもう一度見に行こう。


可愛い可愛い寝顔を・・・つん♡


なんて、むふふっ♡





そう思って


再びおとなしく眠った。





次に目が覚めた時には。


もう太陽が高い位置にあった。


和先生の寝顔を拝みたかったのに


既に先生達は起きてしまっていて


僕以外の布団はきちんと畳まれていた。





松本「お、起きたか?おはよ」


風磨「おはようございます」


松本「他目的教室に朝ごはんあるよ。


その前に布団運ぶの手伝って」


風磨「はいっ」




一・二時間目は雪のため休講で


生徒達は時差登校になったと教えてもらった。


キョロキョロ和先生を探す。




櫻井「お、風磨。おはよう」




コンビニの袋から


櫻井先生がおにぎりとパンを取り出す。




風磨「あの、か・・・和先生は・・・?」


櫻井「もう職員室で電話対応してるよ」


風磨「大野先生も?」


松本「うん」


櫻井「ほら。さっさと食って自習しろ。


学年末テストまで、もうすぐだぞ」


風磨「はいっ。いただきますっ」





食べ終わったら


和先生におはようございますを言おう。


ニヤニヤしながら朝ごはんを食べて


職員室を覗いてみると


そこには・・・





雪よりも真っ白な和先生の横顔。


鼻が高くて


薄い唇がエッチくて


そして・・・


なんでこんなにも色気あるのかな・・・




和先生「風磨くん、おはよう」



風磨「おはっ。おはようございますっ」





くふふ・・・


と微笑む美しい人。


電話がひっきりなしに鳴るのに


テキパキ対応している。




大野先生「おう。菊池。おはよう」


風磨「おはようございます」


大野先生「髭くらい剃ってこい」


風磨「あ、は、はいっ」





コンビニ、行ってこよ・・・


大野先生も色気あるんだな・・・


それも、男の色気・・・


なんて思いながら雪の朝を歩いた。