side O




雷に撃たれたような出逢いだった。


少なくとも。


恋する飴色の瞳に見つめられた瞬間から


俺は恋に落ちていた。








俺と和は。


南の島に住んでいる。


松本さんが古民家を手配してくれて


例のリゾートホテルまですぐの海沿いに


ふたりで住んでいる。





俺は船乗りだから


一週間、二週間と家を空けることもある。


だからいつでも。


瓶詰めのピクルスを持たされて


ビタミンが切れないように


船乗り特有の病気になんないように


君が・・・俺の世話を焼く。





俺にだけ甘えん坊な君は


翔くんと一緒に


リゾートホテルの厨房を取り仕切る。


外国人観光客も多く訪れるようになり


ちょっとしたバブルを迎えている。





心配が無い訳ではない。


だってこんなにも愛らしい。


だけど。


短く切り揃えた爪は


出逢った時も、今も。


遊び慣れていない君を現している。


厨房に立つ君が・・・


飾らないありのままの君が・・・


愛おしくてたまらない・・・





君がどこの誰でも構わなかった。


俺に恋する瞳を真っ直ぐに向けた君が


どんな人生を辿ってきたかなんて


俺にとっては些細なことだった。


そんなもの


もし必要だというのなら


この小説をもう一度読んでみて。





だけど君の人生に


俺の人生に


ふたりが出逢えたことは


キセキに違いない。


男同士という壁を越えて


老舗旅館の跡取りというハードルを越えて


互いの両親にも祝福されて


今こうしてふたり一緒に生きていける。


それはキセキに違いない。




いつか・・・


そうだな


人生の先で


瀬戸内の旅館を君が背負う時には


俺・・・君についていくよ・・・





*ララァさんのお写真です*





side N




海に落ちていく夕日を臨む。




「生きろ」と力強く僕を帰してくれた


海の男は僕の男になった。




僕らが落ち着いて


一番最初にしたことは


HPのseñoritaを削除することだった。


常に品切れ状態のseñoritaのピクルス。


もう、味ひとつで勝負できる。





だけど懲りない人たちがここにいた。




翔「これは我々だけのお楽しみ」


雅「智さんに叱られちゃうよ」


潤「こんなに可愛いんだぜ。


もったいないだろ」


翔「アイドルの山田タミコちゃんも


ビックリな可愛さよな」


雅「可愛い過ぎて心配になるよ」


潤「だろ?だから我々だけのお楽しみ」





イタズラ好きなお三方。


やれお誕生日会だ🎉


やれ節分パーティだ🎈と


次々と楽しいことをやってくれるたび


僕は何故かseñoritaに変身させられる。





その度に。





智「また。señoritaになっちゃったの?」


和「これは翔さんと潤くんが」


智「・・・まったく。


俺をどうしたいんだ?」


和「だって・・・」




だってseñoritaの恰好をすると。


あなたに遠慮がなくなるんだもん///





智「お仕置きだな」


和「ふふふっ」




あなたは。


いつでも。


僕の爪からキスをくれる。


短く切り揃えた爪は


玉ねぎの匂いがするかもしれなくて


僕はドキドキする。




いや。違う。


玉ねぎの所為じゃない。


僕のドキドキは


あなただけに由来する。




いつも。


どこでも。


どんな時でも。





僕の恋心は、智さんに・・・由来する。





ほら・・・


見つめあっただけで・・・




Z・・・La La La La・・・




触れ合ったところから




Z・・・La La La La・・・




あなたを求めて


たまらない疼きが


この身を駆け巡る・・・






(お終い)






ありがとうございました♡

明日、後書きをUPします。