side N
程なくしてお布団が届いた。
智「すみませんでした」
寮母さん「大丈夫よ。
クリーニング代だけ付けておくわね」
智「運びます」
寮母さん「あら、そう?
いつも悪いわね。
下まで運んでくれたら
リース会社のお兄さん取りに来るから」
智「色々、すみません」
一緒に謝りたかったけれど
息をひそめて待っていた。
男の自分が・・・
その・・・
お布団を汚してしまった・・・
という事実を知られたら
智さんがどんな目で見られるか分からない。
そう思って
襖のこちら側で息をひそめて待っていた。
智「端っこ、持って」
和「はい」
糊の効いたシーツを広げて
ふたりでお布団を敷く。
その上に
さっきまで包まっていた掛布団を
さらに毛布をのせた。
お風呂をいただいて
歯磨きをして
僕らは再び身を寄せ合った。
智「まだ・・・痛む?」
和「ううん」
智「無理すんな。
まだ・・・痛いだろ・・・」
隣り合う手と手を絡めていたけれど
智さんの腕が
ぐっと僕の首の後ろに伸びてきた。
・・・腕枕だ・・・///
きゅん♡としたと同時に。
今までに何人にこうして腕枕したのかな
なんて・・・
さっき、やっと抱いてもらえたばかりの
智さんのお相手としては新参者の僕が
一丁前に嫉妬している。
だけど。
ここから先は。
もう僕だけだもん。
智「被災地に物資を届ける任務があって」
和「はい」
智「それが終わったら」
和「・・・?」
智「君を迎えに行くから」
和「・・・はい///」
智「瀬戸内のご実家で待ってて」
智さんの本拠地は何処なんだろう?
智「ずっと。
家なんて・・・考えたこともなくて」
和「寮暮らし?」
智「そう。実家と寮」
和「ご実家は・・・何処に?」
智「兵庫県淡路島」
和「・・・淡路島・・・」
淡路かぁ・・・
すぐ、そこじゃん///
海を越えて、すぐ///
智「主に西日本勤務だから。
舞鶴か呉か佐世保か種子島か。
何処がいい?
呉がご実家に一番近いな」
和「智さんのいるところに、行く」
智「まじで?」
和「うん」
智「何処でも?」
和「うん」
これからのことを話し合うのは
とても楽しいことだった。
智「俺の親にも・・・会ってくれる?」
和「いいの?」
智「うん。母ちゃんも父ちゃんも
きっと喜んでくれる」
そうかな・・・
僕は不安でいっぱいだった。
反対されるかも・・・って思った。
反対されても・・・
もう離れられないけれど・・・
智「だけど先にお前ん家挨拶に行く」
和「・・・うん・・・いいのかな」
智「いいんだよ。そうしたい」
とっぷり暮れてしまった冬の夜。
これからふたりで生きていく為に
僕らはこれから住むところについて
延々と話しあった。
僕の仕事のことも。
実家の旅館では戦力外で・・・
翔さん達との事業がメインなこと。
成功し始めたseñoritaのピクルス。
それは。
何処に住んでもずっと続けたいこと。
僕の方の事情も全て話した。
智「南の島を俺らの本拠地にすっか。
あそこなら希望を出せば行けそうだ」
和「南の島・・・///」
また。
あの楽しい人達と一緒に。
señoritaのピクルスや
実家の真似事旅館が出来る。
それは、楽しそう♬
起承転結の結まで来ました。
あと少しお付き合いくださいませ。