(智)


母さんに小さいふたり(颯と詩)を預けて


懐かしい中高へ蓮を連れて行った。


あの伝説のキスの写真


と言ってもタオル被っているんだけど


蓮にはすぐにバレた。


まぁ、アイツには生まれた時から


少なく見積もっても


3×365×11=12045回(1日3回として、一年は365日で蓮は今11歳)


いや。12歳か。


3×365×12=13140回だ!!!


和「何をさっきからぶつぶつ言ってるの?」


智「ちょっと」


和「・・・ん・・・ぁん・・・」


蓮「俺の前でマウントしたキスの回数だろ」


あ。バレてました?


和「ちょっと」


逃げられたし。


・・・ここのところ、和は蓮につきっきりで


面白くなかった。


お前は俺の相手しろ。


それが一番大切な仕事だ!


蓮も蓮だ。


難しい算数は和にばかり聞く。


俺だって解けるぞ!


蓮「じゃあ、父さん。これお願い」


智「ん?年齢算か?んなものは、線分図だ」


蓮「あ、もう言わないで。分かった」


スラスラ解く。


・・・分かってる問題聞いたな。


和「ほらほら。お風呂に入って」


俺の仕事だな。


小さい組さんのお風呂に付き合う。


詩はいくつまで一緒に入ってくれるかな。


蓮は最近一緒に入りたがらない。


小6って、微妙な時期。


声変わりは・・・あやしいな。


そろそろかな。


ほかほかの詩を連れにきた和に


一緒に入ろうと誘っても


和「詩のお着替えさせないと」


・・・そうだよな。分かっているんだ。


分かってるんだけど・・・



その美しさは


ここのところ、優しさとかいろんなものが


加わって・・・


しっとりとした大人の色気が備わって


・・・


・・・・・


抱きたい。


智「よし。読み聞かせだ。本持って来い」


お着替えと歯磨きの終わった颯が


嬉しそうに本を選ぶ。


詩「うたも。うたがさき」


颯「こら。順番抜かし、ダメ」


詩「ダメ、いわない」


颯「お前はわがままに育ってもいいのか?」


詩「わがまま、ちやう!!!」


颯「ほら。にいにのあと」


詩「いじわる。れんはいじわるしない」


まだリビングのテーブルで算数を解いている


蓮の膝によじ登った詩が


詩「まるー!まるー」


蓮のノートにぐちゃぐちゃにな💮を描く。


蓮「母さん。そっちのノート取って」


和「はいはい」


今、蓮が使っているノートが一番価値があるんだよな。


詩「うたの!」


華麗にノートを取り返した蓮が


図形と睨めっこをしている。


和「それ解いたら、蓮もお風呂ね」


蓮「はい」


和が横からスラスラと数式を書き込む。


蓮「あ、そういうことか」


どういうことだ?


颯の選んでくるものも字ばかりになったな。


小さい組さんの寝る準備は整った。


最後の手段だ。


俺は歌を歌い出した。



*ララァさんのお写真です*




智「♫眠れ良い子よ・・・


・・・月は窓から・・・金の光を・・・」


よし。詩は眠った。


・・・あ。颯も、寝てた・・・