(和)


愛しい人が果てて・・・


僕はそぅーっと起き上がり


バスルームへ駆け込んだ。


自分のカラダを洗い流して


消えない愛の痕を指で辿った。


あれだけ渦巻いた感情は


抱かれると擦り切れた・・・


智もお湯に浸かりたいよね。


浴槽にお湯を溜めながら呼びにいこうとして


・・・!!!


・・・え・・・これ、誰の?


廊下に転がっていたものを拾い


恐る恐る蓋を開けると


・・・ルージュ・・・


さっきまでなかった・・・



その時、僕の心に激しい嫉妬の火がついた。 


それを自分の唇💋に塗って


静かに指先でなぞってみた・・・


あまりに呆然としていたから


お風呂に溜め出したお湯が溢れているのも


気付かなかった。


智「・・・風呂の湯、止めるよ」


僕が何をしているか知った智が


鏡越しに僕を見て・・・


その長くて美しい指で


僕の唇💋をやはりなぞって・・・


僕はその指先を見ていた。


智の唇が僕の耳をはんで・・・


優しく言葉で愛撫する。


その美しい指先は僕の喉から鎖骨へ


そして乳首へと降りていく・・・




(智)


水の音で目が覚めた。


抱きしめていた人が浴室にいると思って


行ってみると・・・


浴槽から湯が溢れていた。


そんなことよりも、和也・・・


口紅💄なんて、どうして・・・?


その瞳の中は底知れない哀しみが渦巻き


飴色の瞳を覗き込もうとすると


・・・逸ら(そら)された。


智「お前は、俺のものなんだよ・・・」


耳元で優しく囁いて


唇と指で


再び愛しいカラダを開き始めた・・・


誰にも秘密のままで


俺の渇いた心を潤ませる・・・


もう戻れない。


二人、この恋に堕ちたまま・・・