僕のバイオリン🎻を


まるで一緒に奏でるように


そのカラダを揺らして


音を表現するんだ・・・


革靴を履いているのに、羽が生えているの?


トゥが軽くクルクル回って


重力をまるで感じさせないジャンプも


プリエもピルエットも・・・


虜になったその瞬間から


僕はバイオリン🎻を弾きながら


大野さんのダンスに魅入っていた・・・



・・・スターさんなのかな・・・


僕が知らないだけで


ハリウッドやブロードウェイの


アーティストなのかもしれない・・・


そんなことを思いながら


再びブラウスの上まできちんと留めて


音楽フロアに戻ってみると・・・


ピアノの独奏に合わせて


人々が踊り始めていた。


知らない人「一緒に踊りませんか?」


和「あ。・・・いえ、僕は・・・」


失礼を丁寧に謝って


その場を平和に立ち去ろうとしたのに


手首を掴まれた。


和「僕はバイオリン弾き🎻ですので」


逃れようとしているのに


お構いなしにフロアの真ん中に連れられて


あ・・・この人の匂いが、無理。


お酒の匂いが全身から漂って


ダンスにも品がなくて


僕のカラダをペタペタ触る・・・


気持ちが悪くてたまらない。


知らない人「ノリが悪いな」


そう言って、僕の口に何かを放り込んだ。


・・・これ、ヤバイやつだ。


ブラウスのヒラヒラを口に当てて


慌てて吐き出した。


だけど少し口に残ってしまった・・・


ぐるぐると目が回り始めて


その人に担がれているのがわかった。


僕を何処に連れて行くの・・・?


バイオリン🎻は持ってないと。


生きる手段だから・・・


なのにもう、右も左も天も地も


分からなくなっていた・・・