映画を観たおかげで知れた人は多数いる。
 
本作の主人公、写真家ユージン・スミスらの事は恥ずかしながら今回初めて知りました。
 
タイトルは、言わずもがな熊本県、水俣の事。公害病のひとつ、水俣病に苦しむ人々の姿を世界に知らしめた彼のドラマであります。
 

(C)2020 MINAMATA FILM, LLC  (C)Larry Horricks 
 
(鑑賞:2022 7・12 WOWOWオンデマンド)
 
スミスを演じたのがジョニー・デップ、今回も言われなければ分からない風貌でなり切っていますが、さらに、そんなスミスの相棒となるアイリーンを美波や豪華日本人キャストが参加しております。
 
アイリーンからの依頼で水俣にやってきたスミス。そこの人たちが病に苦しみ、そして有害物質を垂れ流す工場との戦い。カメラをもって土地、人、そしてその戦いに挑んでいく姿、静と動のバランスがよく描けているし、いわゆるアメリカの監督が撮った日本の映画、という違和感が全くないのだ。
 
当時の映像も交え病がいかに酷いものであったかが分かるシーンも多々あるのですが、その一方で家族や子供がどれほど病に苦しんでいようとも献身的な世話をする人たちの美しさに心打たれた。代表的な一枚が撮られるクライマックスには息を呑む。
 
苦しむ人たちの姿、辛いけれども、それをひとつの写真集として芸術性を感じるものに仕上げた、ぜひとも観たくなりました。
 
(2020 米) 1時間55分