ある新聞王が死に際に残した「バラのつぼみ」という言葉、それにどんな意味があったのか。
弱冠25歳のオーソン・ウェルズが監督、主演、脚本を兼ねた一作は実在の新聞王をモデルにしたドラマ。冒頭でケーンの人生をサーッと紹介し、その後、記者がケーンの関係者に取材し、その実像を掘り下げていく作り。
当時としては画期的なパンフォーカス、ローアングル、長回しとカメラを駆使した映像がCGなどに頼らずとも迫力あり、厚みのある物に仕上がる、まさに見本、教科書的な映像が巨万の富を手にした彼の孤独さを際立たせてしまう、そんな面白さが素晴らしい。
(1941 米) 1時間59分
(鑑賞:2021 4・6 Amazon primeにて)
あの名作「市民ケーン」はどう生み出されたのか。。
その脚本家、ハーマン・J・マンキウイッツの日々を「ソーシャル・ネットワーク」などのデヴィッド・フィンチャーが監督した一本。本年度アカデミー賞で作品賞などに多数ノミネートされてはいるのですが、正直、もっと市民ケーン自体の撮影の裏側とかに迫った作品かなー、と思っていたので、少し表紙抜け。
ただ、モノクロ映像で、フィルムのような味付け、同様のカットがあったり、市民ケーンを観ていた方がニヤニヤしてしまうのは間違いない。過去と現在を行ったり来たりしながら、彼の出会いや経験が作品に影響されていく。アルコール依存症だったりしたが、ケーンよりはある意味、豊かな男に見えたのは演じたゲイリー・オールドマンの上手さもあるなあ。
(2020 米) 2時間12分
(観賞:2021 4・10 Netflixにて)