たいやき屋でお腹いっぱいにしてもいいところを

 

主人公の女性・こよみのやっているたい焼き屋の雰囲気がよく、そこだけを切り取って1本の映画にしても全然いいムードになったとは思うけど、そこは「愛の小さな歴史」などの中川龍太郎監督だけあってもうひとつ、ドラマを重ねてくる。彼女が事故に遭い、事故以後の記憶が1日しかもたない、という設定に関しては新鮮味は少ないですが、やがて彼らが一緒に暮らしていく中でそれがいかに大きく、切ない事なのか・・・がよく描かれてるし、何気ない会話を後々シーンに活かしてくるあたりも上手い。

 

誰しもが心や体に傷を抱えてしまったとしても、それを乗り越える誰かの存在が優しい雨上がりを生む。一緒に食べるたい焼きや焼き芋・・その温かさが実に羨ましいほど。役者・衛藤美彩は自然で実にいいね。これからももっと観たくなる人です。

 

宮下奈都の原作を基に、今や売れっ子の仲野太賀に元乃木坂46の衛藤美彩がW主演して映画化したラブストーリー。

 

CAST:仲野太賀、衛藤美彩、三浦透子、河瀨直美、萩原聖人、でんでん、他

 

(2019 キグ―)  1時間39分

 

(鑑賞:2021 3・23 WOWOWにて)