ガソリン代の値上げが止まりません。

8月6日の時点で全国のガソリン代平均は実に176円。15年ぶりの高値で過去最高額である2008年の185.1円はすぐそこです。

 

 

 

これは昨年1月から始まった政府のガソリン代補助が9月末に終了することになり、6月から段階的に縮小されることになったからです。

私が生活している新潟もそうですが地方の殆どが車社会でガソリンを消費しなければ生活ができません。

政府はそれを知っていて、人々の生活を更に苦しめる政策を実行したわけです。

 

 

補助金の計算方法は説明するのは複雑ですが、価格の変遷については資源エネルギー庁のHPによって確認できます。

これを見ると過去には最大で41円補助金によってガソリン代が抑制されていたのですね。

それが直近ですと9.1円の政府からの補助でガソリン価格は8.1円抑制されている、ということになります。

やっぱり1円は業者が自分達の利益にしているんですね

 

しかし去年の6月の本来のガソリン代は215円であったようなので、これは恐ろしい価格です。

しかしその時に店頭販売されていたガソリン代の全国平均価格は173.9円ですから、補助金を縮小された結果その時よりも今の方が販売価格が上がってしまったことについては制度の趣旨にあっていません。

 

そもそも何故この時期にガソリン代の補助を決めたのかの理由が分かりません。

理由を検索したら

・原油価格の高騰が落ち着き(実際グラフを見るとそうですね)補助金を止めても1リットル168円の店頭価格に抑える事が可能と考えたかららしいのですが、だとしたら国民の負担を軽減する目的で行った施策なのに最後は国民の増負担で終わることになります。明確に失政です。

・販売価格への転嫁が不十分であったため、

という理由も書かれており、それは事実でしたが、

 

ガソリン補助金「価格に全額反映されず」 財務省指摘

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA07BW50X01C22A0000000/

 

しかしそれは始めた当初から「そうなる」と指摘されていたことですし、

実際にそうなったからといってそれは事業者の責任であって国民がその皺寄せを喰らう意味が分かりません。

 

そもそもこの制度を始めた目的は、国民の生活の負担軽減のためにガソリン価格168円を目途としてそれを超える部分については補助金を出すと言う事で始まったはずなのに、未だ実価格が168円を安定的に下回っていない段階で補助を打ち切るというのは理屈に合いません。単に「カネを払い続けるのが嫌になったから」という気分の問題で政策を打ち切ったに過ぎません。

国民を愚弄した話です。

 

政府を擁護する意見としては、「日本の財政上仕方がないこと」という方もいるようですが、カネがないはずがないのです。

財務省発表では令和4年度から5年度へ繰り越される「繰越金」は17.9兆円もあるからです。

そんなに余らすなら国民の負担をもっと軽減してくれよ、というのが一般的な人々の感覚ですよね。

 

因みにこれについては、『国債発行額を減らせば良い。財政赤字はまだ大きいので、減税などの理屈はおかしい。』

とツイートしている方がいました。

いかにも国民生活よりも財政健全化の方が重要だと言わんばかりです。

 

 

生活必需品がこれ以上値上がりするのは切実に人々にとって苦しいことなんです。

ガソリン代が高くなれば、運送代金も高くなり、全ての物の値段に影響することになります。

それが分かっていないんです。

 

 

 

そして補助金を終わらせるなら、ガソリン代に関するトリガー条項を発動すべきです。

このトリガー条項は昨年与野党の間でかなり大きく取沙汰されましたが、結局これを実現せずに補助金でガソリン代を抑えることにしたのですから。

 

トリガー条項についてはJAFなどのHPに詳しく掲載されていますが、簡単にいえば

「ガソリン代1リットルあたり160円を3か月連続で超えたら、ガソリン代に含まれている『上乗せ税』分25.1円を差し引く」というものです。2010年の民主党政権時に出来ましたが、2011年の東日本大震災の復興財源確保のために凍結されたものです。

 

 

 

 

事業者に中抜きさせずにガソリン代に直接関与させたいのであれば減税するのが一番ですし、そもそもガソリン代には税金が含まれた価格に更に消費税がかけられているというに二重課税の問題まであるのです。

 

 

政府がこのトリガー条項をしたくないのは分かります。トリガー条項は発動されれば、再び凍結するのに『130円を3カ月連続割る』という条件が発生します。恐らく数年、或いはもうガソリン代がそこまで安くなることはないかもしれません。

そうすると政府としては貴重な財源を失うことになります。

 

しかしそれとて悲観することではありません。

財務省の試算によればトリガー条項による減税効果は約1.5兆円とされています。

2022年ガソリン代補助の開始から今年3月までに執行した額は約3兆円ですから

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA268FP0W3A520C2000000/

寧ろ安上がりです。

 

 

しかもこの減税による経済効果によってGDPは0.6兆円から0.8兆円押し上げられ

 

2年目からは税収増となる計算なのです。

 

単純な損得勘定名でいえばこのトリガー条約は発動すべきなのですが、今の政治家・財務官僚の思考は「国民からカネをむしり取って、それを配って恩を売る」ことにあって、人々の生活を守り国を豊かにするという至極一般的な考えは『むしろ邪魔でしかない』んです。

 

というか、そもそも論として「ガソリン価格170円だとしたらそのうちの70円は税金」

というのは如何にも異常な話です。

 

だったら戦うしかないですよね。こういう人達とは。

「何を言っても無駄。仕方がない。負担も耐え忍ぼう」

などという姿勢は却って私達の生活を困窮させることになります。

 

 

私達の生活を守るために、正しいと思う事に声をあげ、行政に働きかけていくこと。

それこそが私達の取るべき道だと私は思います。