大前研一「10年かけて日本を貧乏にした黒田日銀の金融緩和を検証する」 岸田政権の"貯蓄から投資"はなぜ完全に間違っているのか (3ページ目) | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

 

 

個人的な批判は極力しないようにしたいとは思いますが、この人って巷では「天才」と呼ばれているらしいですね。ふーん。

ある一定以上のお年を召した方が現在の経済を語っても1mmも役にたたないばかりか、却って社会に有害でしかことが分かります。

 

因みにこの方は毎年「日本の論点」を出版しており私もパラパラ読んでみますが、出版社や読者は何を期待して毎年この方に仕事を発注しているのか分かりません。

 

必要なのは「貯蓄から消費へ」

に関しては全くその通りですが、そのための方策が銀行利子を「(銀行)金利を上げて、その利子を消費に回してもらえばいい」と書いています。

 

「高度成長期から80年頃までの金利は5~7%。当時と同じ水準で金利を5%に引き上げると、個人の現預金1000兆円の利子は年5兆円になる。」

 

この発想職場の人も言っていましたが、やはりバブル以前の人が政治・経済に関与し続けていると碌なものにならないということを端的に感じ取れます。根本的に何にも分かっていません。

 

平成6年(1994年)に普通預金金利は自由化され、各銀行は自由に預金金利を設定できるようになりました。

ですからこの方の主張は日銀総裁に対してではなく、各銀行に要求すべきものです。

 

しかし各銀行が預金金利を5%にするには、必然的に企業融資や各種ローンの利息をそれ以上にしなければ経営が成り立ちません。

では現在の「重要不足」ともいうべき景気状況で、果たして企業は5%以上もの金利で融資を受けようと考えますでしょうか?

あり得ません。

 

逆にローン返済が出来ずに倒産企業や破産者が急増することでしょう。

ますます景気が悪くなります。

 

大体金利引き上げは景気過熱期に行い、不景気には金利引き下げを行う、というのは経済の教科書にも書かれている事です。

 

結局日本の景気がずっと良くならない理由は「教科書にも『それやったらダメですよ』と書かれていることを、声だけはうるさく経済の事も分からない。そのくせ自分は誰よりも経済に詳しいと勘違いしている輩がやたらとやりたがる」からなのです。

 

2ページ目の中段には「ヘリコプターマネー」という単語が批判的に登場しますが、そのヘリコプターマネーを行ったのが同ページの最後に「世界の頭脳」として名前が出ている「ベン・バーナンキ」元FRB議長ではないですか。しかもその人は昨年ノーベル経済学賞を取っていますが、それ分かっているんでしょうか?

 

「日銀は異次元緩和で国債を買い入れ続けている。リフレ派は『満期がくれば繰り延べればいい』と主張しているが」

リフレ派があたかもトンデモ論を言っているかのように書いていますが、それが日本以外の世界全ての国がやっている事です。

 

「日本の政府債務は対GDP比262%に達して、」

はいお得意の政府負債対GDP比。GDP比が問題ならなぜ『GDPの方を増やそう』と言わないのでしょうか?

因みに政府負債残高でいうなら、日本は20年で政府負債を1.8倍にしましたが、アメリカは5.6倍、イギリスは5.1倍、中国は38倍にしました。

ここからも「政府負債を積み上げること自体には何の問題もない」ことが『世界基準』であることが分かります。

 

「国債残高の半分以上を日銀が保有する事態になった。」

それの何が問題なんですか?市場の歪みですか?それって社会経済よりも大切なものですか?

 

いわゆる『日銀破綻論』ですか?日銀が保有する大量の国債の価格が下落する(いわゆる「長期国債の金利が低下する」)ことによって、日銀が多額の国債の含み損を抱えて債務超過になる、というやつですよね。

これ、株や債券を買ったことのない人にはピンとこないので『なるほど、そうなのか』と思うのでしょうね。

 

株をやっている人はね、『含み損』という単語に『それは大変だ!』と思うのですが、債券は満期保有している分には損することはあり得ませんし、そもそも日銀は国債を転売で利益を上げる目的で売買しているわけではないですので。

 

本当にこの手の記事は読めば読むほど1から10まで理屈として成り立っておらず、ただ単純に『アベクロ政策』(著者曰く)を否定するという結論ありきで書かれています。

 

それは何が目的なのか?詳しくない人をペテンにかけるためにやっているのか?ただ単に勉強が足りないだけなのか?

ただ一つはっきりしていることは、現状この手の輩の方が社会で声が大きいがために、日本はいつまでたってもよくならないという現実がある、ということなのです。