MMT派と野党が主張する「インフレ下での消費税減税」の不都合な真実 「格差拡大」の懸念 (msn.com)

 

記事の結論からすると

「消費額の大きい裕福層のほうが、減税した時に得が大きくなる。そのため皮肉にも、消費税減税は、格差拡大に繋がりかねないのだ。」

というのが筆者の言う所の「不都合な真実」なのだそうです。

 

馬鹿馬鹿しい。

 

毎度思う事なのですが、個人のブログで個人的見解を語るのであればまだしも、法人が出している雑誌や新聞というのは他人からカネを取って情報を提供しているわけですから己の言動には責任を感じてもらいたいものです。

 

日本は消費税を増税をすれども一度も減税をしたことがないのに何をもって「不都合な『真実』」などというタイトルが書けるのであろうか?しかもその直後に「懸念」という表現を使っているのだから結局自分の言っている事に自信が持ててないじゃないですか。

 

仮に減税によって格差が拡大する懸念があったとしても、それによって「暮らしぶりが苦しくなった家庭」の救いになるのであればそれはやったほうがいい政策と考えることは出来ないのでしょうか?

それでは「経済格差が拡大する懸念」とやらがあったら、経済も成長させない方がいいとでもいうのですか?

この人達のような無責任な論調を振り回す輩であればそう思うのでしょうね。

 

これとは別に私が気になった箇所は筆者が言う所の「MMT派と野党」について

『デフレの時は減税で市中の貨幣量を増やし、インフレの時は増税によって貨幣量を減らすことで、物価をコントロールすべきだと考えてきた。

ところが今回のインフレがはじまると、彼らは以前の主張と真逆のことを言い出すようになったのだ。』

と書いている箇所です。

 

私自身このブログで『デフレの時は減税が必要でインフレになったら増税』と書いてきましたので、この指摘については「なるほど文字だけ部分的に見ていればそう感じるかもな」と感じる部分はあります。

 

確かに説明が必要な部分であるとはいえ、経済のことを何も知らないずぶの素人ならともかく、仮にも雑誌社の記者がカネもらって記事を書いているのであれば、こんなことはチョロッと調べればすぐに分かることのはずです。

 

インフレと一言で言っても、それには

供給サイドの低下からくる「コストプッシュ インフレ」と、

需要(消費)増加からくる「デマンドプル インフレ」があり、

デマンドプルインフレとコストプッシュインフレの違い(比較チャート付き) - ビジネス - 2022 (suzuran-law-office.com)

 

『インフレになったら増税が必要』という主張でいう『インフレ』とは「デマンドプルインフレ」のことなのです。

現在の日本は海外から輸入するエネルギー価格や食料品の価格が上昇していることによって物の価格が上がっている、典型的な「コストプッシュ インフレ」です。

 

そして「コストプッシュ インフレ」は日銀の黒田総裁が言う通り

『家計の実質所得の減少や企業収益の悪化を通じて景気に悪影響を及ぼす』もので『持続的・安定的な2%目標の実現にはつながらない』ものなのです。

コストプッシュインフレは景気に悪影響、2%目標実現せず=日銀総裁 | ロイター (reuters.com)

 

これについて三橋貴明氏などは 

『「コストプッシュ型インフレ」はデフレ要因となり、事実上の消費増税と同じ影響』

と指摘しています。

[三橋貴明氏] 今起こっている「コストプッシュ型インフレ」はデフレ要因となり、事実上の消費増税と同じ影響 | 新時代の夜明け前に2、アセンション旅立ちの日 (newage3.net)

 

大体日銀 黒田総裁の記者会見の様子などを読んでみても、日銀が指標としている物価目標は消費者物価指数から「エネルギーと生成食品を除いた」『コアコアCPI』であることはハッキリと言明されています。

総裁定例会見(7月21日)要旨 (boj.or.jp)

 

筆者はなんでこういうのをちゃんと読んで理解しようと努めないのでしょうか?いや、仮に黒田総裁の会見要旨など読まずともちょっと考えれば想像が付きそうなものです。

 

結局物事を真剣に考えることがないからです。社会のこと、人々の幸福について真面目に考えていないからです。

 

まあ、とにかくこの記事の筆者は己の不勉強を棚に上げて、

「耳障りのいい政策であっても、経済学の視点から見るとむしろ逆効果になってしまうことがあるということを覚えておきたい。」

 

などという笑止千万なご高説を垂れているのです。

 

「貴方の言っていることは経済学でも何でもありませんから、出鱈目で商売するのは本当に勘弁してください」と私からは申し上げたいです。