小麦も…値上げラッシュ、家計への影響は?4月以降に値上げされる商品まとめ - 記事詳細|Infoseekニュース
ここで表示されている「4月1日以降に値上げされる商品まとめ」を見ると溜息が漏れます。
「2022年3月9日、農林水産業省は政府が買い付けて製粉会社などに売り渡す輸入小麦の政府売渡価格を、2022年4月1日から17.3%引き上げることを発表」したことの影響です。
ガソリン代の高騰もあり、私自身ただでさえ楽でない生活が益々苦しくなります。正直泣きたくなります。
さて、物の値段が上がることを一般的に「インフレ」と呼んでいます。
なんで「一般的に」という回りくどい言い方をしたのかといえば、正確には「インフレーション」とは、
「物価水準の上昇のこと」
と定義されているからです。
(ポール・クルーグマン「マクロ経済学」より、以下も同じ)
そして「物価水準」とは、「経済の最終財や最終サービスの価格の『全体的な』水準のこと」と定義されています。
(『』筆者)
ここで下記動画を紹介しますが、この動画の中で経済評論家の上念司氏がひろゆき氏にマクロ経済を説く際に
「価格と物価は違うんですよ」
という名言を出しています。
その通りです。個別の物の価格は『物価』とは違うのです。
そして『物価』とは先程も書いた通り『全体的な』モノやサービスの水準のことであり、それはキチンと統計が取られ定期的に発表されているものです。
そして社会が「インフレ」かどうかは『インフレ率』を見て判断するわけですが、『インフレ率』とは
『消費者物価指数(CPI)の各年の変化率』の事を言います。
これも定期的に統計が取られています。
この消費者物価指数には総合値の他に、『コアCPI』と呼ばれる『価格変動の大きな生鮮食品を計算から除いた値』と、更にここから『エネルギー価格』を除いた『コアコアCPI』というものがあり、
『インフレの基調的なトレンドを示す指標として、(コア、またはコアコアの方が)全体の物価水準を示すCPIよりも優れたものだと広く認識されている。』
(ポール・クルーグマン「マクロ経済学」p636)
とされています。
なんでこんな用語の説明を書いたかというと、
マスコミの中には「日本もインフレになるのだから、アメリカにならって金融政策を縮小(テーパリング)しろ」という声が根強いようだからです。
日銀もついに「テーパリング」するときが来た | 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース (toyokeizai.net)
私はこういうのを目にするたび、泣きたくなるのを通り越し吐きそうになります。
では今日本はインフレなのでしょうか?具体的に見ていきましょう。
2月18日統計局発表で
CPI総合値で0.8%
コアCPIで0.2%
コアコアCPIで-1.1%
です。
統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI) 全国(最新の月次結果の概要) (stat.go.jp)
ついでに言うと、総需要と総供給を比較した「需給ギャップ」は-1.54%、つまり8兆円程の「デフレギャップ」です。
これはどういうことかというと、少なくとも統計を取っている1月の段階で日本で起きている「モノの価格の上昇」は原油価格上昇に伴うものであって、マクロ経済学上の定義にある「インフレ」は起きていないということです。
むしろコアコアCPIもデフレギャップもマイナスなので、「デフレ」なのです。
確かに4月以降の統計でこの数字がどう変わるかは分かりませんが、
少なくとも今現在の日本社会においてテーパリングを考えなくてはいけないようなインフレは確認されていません。
大体今の金融政策は「インフレターゲット2%」を目標として始められたものなのに、それを一度も達成していないのにその終わりを口にするなど理屈にも反しています。
全 て に お い て 主 張 に 全 く 根 拠 が な く 、
た だ 単 純 に 国 民 を 苦 し め た く て 言 っ て い る だ と 判 断 す る し か あ り ま せ ん 。
アメリカはテーパリングが必要なのは自明です。
3月10日に発表された米国のインフレ率は7.9%
生鮮食品の物価変動を除いたコアCPIでは6.4%
コアコアCPIでは4.5%
上がり過ぎです。アメリカというのは世界一経済活動が活発な国であり、歴史的に見てもインフレ率が上昇しやすく、
近年のコロナ禍においても大胆な経済政策を行ってきました。
だから引き締めが必要なのです。
日本は全く違います。
この違いが分からない人があまり多すぎるのです。
今の日本経済に必要なのは、モノの価格上昇に国民が対応できるように企業に賃金上昇を促しつつも、補助金を支給するか
減税です。
私はそれを強く訴えます。