「ドラゴンクエスト」シリーズ音楽の生みの親、すぎやまこういちさんが9月30日に敗血症性ショックにより亡くなられました。
私もドラクエによって育った人間の一人として大変ショックを受けております。
衷心よりご冥福をお祈りいたします。
すぎやまこういちさんの訃報に際して、
ゲームクリエーターの堀井雄二さんは「ドラクエの世界に音楽という命を吹き込んできてくださいました。」とコメントし、
キャラクターデザインを務めた漫画家の鳥山明さんは「永遠の命を持つ魔法使いのように思っていました。」「ドラゴンクエストのイメージは(略)すぎやま先生の素晴らしく印象的な数々の名曲によって決定付けられた。と言っても過言ではありません。」とコメントされました。
私は勿論、子供の頃にドラクエをプレイしていただけの人間でしかありませんが、
共に「ドラゴンクエスト」という「偉大すぎる世界」を創造し続けてきたお二人のコメントには深く心動かされるものがあります。
特に私は【魔法使い】という言葉に共感を感じます。
ファミコンのスイッチを入れると同時にテレビ画面から流れてくる『序曲』。
私達はそれを聞けば一瞬のうちに、魂が『ドラクエ』の世界に引き込まれ、その世界の『勇者』になることが出来ました。
フィールドに流れる音楽によって、テレビ画面に映し出された二次元のマップは私達の中で広大な荒野へと変わり、
戦闘時の音楽によって、ドット絵で描かれた静止画の敵キャラは恐ろしいモンスターへと変貌し、私達は命がけでそれと戦ったのでした。
ラスボスの大魔王のテーマ曲は、私達に世界の命運を担う緊張感を与え
エンディングに流れる曲で私達は深い感動と余韻に浸り、涙を流しながら、現実の世界へと返ってきたのでした。
それは間違いなく、飛び切りに素敵で、偉大な『魔法』でした。
とても現実世界で一人の人の手によって、シリーズ500曲以上もの曲が生み出されたとは信じられない。
私達は確かに、その魔法によって、夢を見させてもらいながら、育った。
今思い返してみてもそれは絶対に錯覚なんかじゃない、と私は感じています。
報道で知ったのですが、これほどの作曲家でありながら音大出身ではなく、作曲は独学で学んだというのですから更に驚愕します。
経歴としては文化放送からフジテレビのディレクターを経て、作曲家になったそうですね。
本当に『魔法使い』のような人です。
すぎやまこういち先生は、ゲームに初めてクラシック音楽を持ち込むことでゲーム業界に絶大な影響を与えるとともに、
日本のサブカルチャーに多大な功績を残しました。
今年の東京オリンピック開会式での選手入場曲の冒頭で『序曲』が使用されたことからも、それは万人が認めることかと思います。
すぎやま先生の遺された名曲は、それを聞いて育った人々によって語り継がれ、記憶され
そして伝説へと、変わることでしょう。
どうか安らかにお休みください
心から、ありがとうございました。