またぼちぼち新聞ブログ更新していきます。

 

さて10月10日の毎日新聞 朝刊一面から。

 

どうでもいい話ですが、今日は我が家にとって結婚記念日と息子の誕生日でした。

 

 

任命拒否 首相「変更ない」

学術会議  6人含む名簿見ず

 

菅義偉首相は9日、毎日新聞などのインタビューに応じ、日本学術会議から推薦された新会員候補6人を任命しなかった問題を巡り、「今回の任命について変更を考えていない」と述べ、「任命拒否」の判断を変えない考えを示した。

一方、推薦者名簿を見たのは自身が決裁する直前で、記載があったのは99人にとどまり、任命されなかった6人を含む105人の名簿は「見ていない」と述べた。

 

 

連日の学術会議に関する話題です。菅首相は「任命拒否」の判断は変えないという考えを示しました。

まあ変えるつもりがあるのなら最初から「任命拒否」はしないでしょう。

 

この話題に関しては、今最も世論の注目を浴びている時事ネタとして、私自身勉強のために書いておかねばとは考えていました。

 

 

政権発足時の支持率が(報道機関によって調査結果がまちまちながらも)64~74%と、高い数字を誇っている菅内閣。

https://www.zakzak.co.jp/soc/news/200918/pol2009180009-n1.html#:~:text=%E8%8F%85%E9%A6%96%E7%9B%B8%E3%81%AE%E3%80%8C%E5%9C%B0%E6%96%B9%E5%87%BA,%E6%9E%9C%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82

 

 

長年「アベガ―」を唱え続けてきたマスコミとしては、安倍政治の継承を謳っている菅内閣の高い支持率は当然面白いはずもありません。

 

 

 

そこに起きたのが、菅総理により「日本学術会議『推薦候補』6人の任命拒否」事件です。

10月1日毎日新聞のネット記事を引用します。

https://mainichi.jp/articles/20201001/k00/00m/010/145000c

 

 

政府から独立した立場で政策提言をする科学者の代表機関「日本学術会議」が新会員として推薦した候補者105人のうち、6人を菅義偉首相が任命しなかったことが明らかになった。「学者の国会」と呼ばれ、高い独立性が保たれる学術会議の推薦者を首相が任命しなかったのは、現行の制度になった2004年以降では初めて。

政府は拒否した理由を明らかにしていないが、6人の中には、安全保障関連法や「共謀罪」を創設した改正組織犯罪処罰法を批判してきた学者が複数含まれている。関係者の間では、学問の自由への政治介入との見方が広がっている。

(略)

1日に東京都内で開かれた学術会議総会で、9月30日付で退任した山極寿一・前会長は「(1941年の)創設以来、自立的な立場を守ってきた。説明もなく任用が拒否されることは存立に大きな影響を与える」と危機感をあらわにした。

 

 

 

 

これに左傾メディアと学者、特定野党の方々が飛び付き、

政府への批判と説明責任を求める活動を連日行われることとなり、今日に至っています。

 

 

因みに今回任命が拒否された6名がどんな人物であったかについては下記記事にある通りで、

https://www.huffingtonpost.jp/entry/news_jp_5f76974cc5b66377b27fcefe

 

 

一言で言うならば、学者でありながら左翼活動家であり、安全保障に関する法案には反対の姿勢をとっていた方々です。

 

 

そこで左翼側からは「今回の人事は政府側による報復措置であり」、これを看過すれば「学者の委縮と政権への忖度につながる」との批判が起きています。

 

 

そして学術会議の人事に政治介入する事で、学者に対し政権批判をするなと圧力をかけるのは、憲法23条が規定する「学問の自由」の侵害である、と主張しています。

 

 

メディアの中には、この菅首相の姿勢を前安倍政権から続く政治の腐敗と断じるもののあります。

 

曰く

「根拠法たる日本学術会議法ならびに当該法に関する過去の政府の国会答弁と法解釈に反したものである可能性が高く、行政の一貫性や法の支配の観点からも極めて重大な問題を孕んでいる。」

「こうした手続き上のずさんさや遵法意識の低さ、また政府が負うべき説明責任の軽視は、先の安倍政権以来のもので、菅政権もそれを正しく継承しているのでしょうが、どう考えても国家社会に混乱をもたらす単なる迷惑行為」

(ハーバービジネス・オンライン)

https://news.yahoo.co.jp/articles/4c91fcb45b24fdaf4ff1b7008377f4c9628832d9?page=1

 

 

 

ハーバービジネス・オンライン(あと日刊ゲンダイとか)の記事はいつも口汚く政権批判を行っており、個人的にはそれこそがまさに「日本においては十分な自由が政治によって保障されている」実例に他ならないとかねてより思っています。

 

 

 

一方で10月5日の法政大学総長田中優子氏によるメッセージは(私のような浅学な者がいうのは大変おかしな話ではあるのですが)理性的であり、政府に対する批判に際しても説得力を感じさせるものがあります。

以下抜粋して引用します。

 

 

【総長メッセージ】日本学術会議会員任命拒否に関して

 

日本学術会議は、戦時下における科学者の戦争協力への反省から、「科学が文化国家の基礎であるという確信に立って、科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学会と提携して学術の進歩に寄与する」(日本学術会議法前文)ことを使命として設立されました。内閣総理大臣の所轄でありながら、「独立して」(日本学術会議法第3条)職務を行う機関であり、その独立性、自律性を日本政府および歴代の首相も認めてきました。現在、日本学術会議の会員は、ノーベル物理学賞受賞者である現会長はじめ、各分野における国内でもっともすぐれた研究者であり、学術の発展において大きな役割を果たしています。内閣総理大臣が研究の「質」によって任命判断をするのは不可能です。

また、日本国憲法は、その研究内容にかかわりなく学問の自由を保障しています。学術研究は政府から自律していることによって多様な角度から心理を追求することが可能となり、その発展に繋がるからであり、それがひいては社会全体の利益につながるからです。したがってこの任命拒否は、憲法23条が保障する学問の自由に違反する行為であり、全国の大学および研究機関にとって、極めて大きな問題であるととともに、最終的には国民の利益を損なうものです。しかも、学術会議法の改正時に、政府は「推薦制は形だけの推薦制であって、学会の方からの推薦いただいたものは拒否しない」と国会で答弁しており、その時の説明を一方的に反故にするものです。さらに、この任命拒否については理由が示されておらず、行政に不可欠な説明責任を果たしておりません。

(以下、略)

 

 

 

上記の文章には日本学術会議の設立経緯についても触れられていますが、日本学術会議のHPによればその「職務」は以下の2つとなっております。

 

・科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること。

・科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること。

 

さらに同会議の「役割」を以下の4つとしています。

 

・政府に対する政策提言

・国際的な活動

・科学者間ネットワークの構築

・科学の役割についての世論啓発

 

実際に、日本学術会議が純粋に科学の向上と国益に叶う研究にのみ没頭していたのであれば、おそらくこんな問題は起こらなかったのでしょうが、ところが実際はアゴラにおける池田信夫氏の「学術会議は共産党の活動拠点だった」

http://agora-web.jp/archives/2048446.html?fbclid=IwAR3FSixGwq_FH4KI_7El6nflyxZnA6ESgHTmgUhHzmRfQZYN40lAXy6bPds

 

 

にあるように、日本学術会議は極めて政治色の強い団体だったのです。

それでいて日本の安全保障問題に関しては「絶対平和主義」という幼稚な見識しか持ち合わせていないところが質が悪い。

 

 

この記事では、1963年に「原子力潜水艦の日本港湾寄稿問題に関する声明」でアメリカの原潜の寄港に反対し、1967年に「軍事目的のための科学研究を行わない声明」を決議したことが紹介されていますが、いずれも共産党の方針であったことが記されています。

 

 

先日10月6日には北海道大学の永田晴紀教授(工学研究院 機械・宇宙航空工学部門 宇宙航空システム)が自身のTwitterで防衛省の安全保障技術研究推進制度に応募していた同大が、日本学術会議の圧力で辞退させられていたことを触れ、話題となりました。

https://www.daily.co.jp/gossip/2020/10/07/0013762516.shtml

 

 

 

北大が辞退したのは「微細な泡で船底を覆い船の航行の抵抗を減らすM教授(流体力学)の研究」で、船舶の燃費を10%ほど軽減できる可能性があり民間にとっても有益な研究であったはずが、学術会議からは「軍事研究」と見做されたということです。

 

 

散々、学問の自由がどうだと主張しているくせに、自分達は他人の研究を妨害しておりそれを恥じることがないというのは人としてどうなのかと思いますし、そもそもここまでくると完全に国益に叶っていない組織です。

今回、「政治の学会に対する介入」などと宣っていますが、自分達のやっていることは「学問の自由を笠に着た政治活動」です。

 

 

しかも日本の軍事研究はダメだと言っておきながら、中国の人民解放軍と関係が深い中国科学技術協会とは協力覚書を結んでいると言います。国益に叶っていないどころが日本にとって有害な組織でさえあります。

これに年間10億円が投じられ、会員は国家公務員なのですから、このような組織は解体して民間の組織として再編成した方がよいという意見が出るのは当然のことです。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/76145?page=4

 

 

 

 

法政大学総長田中優子氏のメッセージでは「内閣総理大臣の所轄でありながら、『独立して』(日本学術会議法3条)職務を行う機関であり、」

という言葉が使われていました。条文をよく読んでください。

 

第三条 日本学術会議は、独立して左の職務を行う。

1、科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること。

2、科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること。

 

 

内閣総理大臣から独立して、日本政府と異なる政治活動を行うことなど日本学術会議の職務では全くありません。

都合のいいように解釈しないでください。

 

 

「国家公務員」という言葉が出ましたが、学術会議会員の身分は国家公務員です。

従って私人ではありません。公のために務める義務があるのです。

ならば反政府活動をしている人間が公務員に相応しくないのは当然じゃないですか?

こんなことは「学問の自由」とは関係のないことです。

 

学問の自由とは通説によれば

・学問研究の自由

・学問研究結果発表の自由

・大学における教授の自由

・大学の自治

とされています。

 

 

これが侵されることが憲法23条違反となるのです。

学術会議の会員になれないことは「学問の自由の侵害」などではありません。断言できます。

なぜなら私人として学問の研究をすることについてはなんら制限がなされていないからです。

 

 

「学者の委縮や忖度をまねく」?

どんだけナイーブなんですか?アホですか?勝手に言ってろよ。呆れるわ。

他人を攻撃する際には容赦ないくせに自分の立場が悪くなると急に被害者面をする。

私は左翼のそういうところが本当に大っ嫌いです。

 

 

さて、憲法23条についてはなんら問題はないとして、

首相に学術会議会員の任命権があるかについてです。

 

 

これについては日本学術会議法は以下のように定めます。

7条2項 会員は、第17条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。

17条 日本学術会議は規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定める所により、内閣総理大臣に推薦するものとする。

 

 

因みに菅首相が任命拒否理由を説明しないのは17条のためです。

政治的な理由で任命拒否が行われたとしたならば、次回から学術会議は会員の推薦に「研究又は業績がある」の他に「政治活動及び思想の有無」を選考理由としなければいけなくなり、条文にそぐわなくなるからです。

 

 

まあ、「(任命拒否の)理由が分からなければ、学術会議としてはどうしていいのかさっぱり分からない。まずは首相に理由を言ってもらいたい」という元学術会議会長の広渡氏の言葉も感情としては分からなくもないですが。

 

 

さて、

首相に任命権があるのは条文から明白ですが、問題は1983年の国会答弁です。

時の総理大臣 中曽根康弘氏が衆議院文教委員会において

 

「政府が行うのは、形式的任命にすぎません。したがって、実態は各学会なり学術集団が推薦権を握っているようなもので、政府の行為は形式的行為であるとお考えくだされば、学問の自由独立というものは、あくまで保障されるものと考えております。」

 

と答弁しているのです。

これについては前述の池田信夫氏はアゴラの記事で「答弁は違憲であった」と断じています。

http://agora-web.jp/archives/2048442.html

 

 

なぜなら、学術会議の会員は国家公務員であり、憲法15条によって「公務員の選定、罷免は国民固有の権利」とされているからです。

そしてその「権利」を行使するのは、国民の信託を受けた政府の責任によって行われるべきことだからです。

 

憲法15条 1項 公務員を選定し、及びこれを罷免する事は国民固有の権利である。

同2項 すべての公務員は全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。

(3項4項 省略)

 

つまり学術会議会員の選定が本当に会員による推薦だけに限られるのであれば、憲法15条違反になります。

ついでにその会員が反政府的な政治活動を行っているのであれば2項にも違反します。

 

 

さらには

憲法65条 行政権は内閣に属する。

憲法72条 内閣総理大臣は(略)行政各部を指揮監督する。

 

 

とあるため、内閣府に属する組織でありながら「独立して職務を行う」とされる日本学術会議への指揮監督権を、首相が完全に否定されるということは違憲なのです。

 

 

そこで2018年、時の安倍内閣は「内閣府と法制局の合意文書」において、

「憲法第15条1項の規定に明らかにされているところの公務員の終局的任命権が国民にあるという国民主権の原理からすれば、任命権者たる内閣総理大臣が、会員の任命について国民及び国会に対して責任を負えるものでなければならない。内閣総理大臣に、日学法第17条による推薦のとおりに任命すべき義務があるとまではいえない。

 

 

としたのです。

特定の野党はそれは「またしても勝手な解釈変更だ」と批判しているわけですが、

これについては維新の会の足立議員が「法解釈ではなく、前例を踏襲しないという『法の運用』を変えただけだろう」という見事な国会質問をしています。

https://www.youtube.com/watch?v=6anFeq0dbUI

 

 

 

足立議員自身が言っていますが、「与党の質問時間はたくさんあるんですから、しっかり質問して後に続く野党が困るぐらいにしてくださいよ。こんなのは本来1日で終わる議論ですよ。」

というのは痺れるセリフです。

 

本来野党の仕事と言うのはこういうものですよね。