5月30日 朝日新聞の一面トップから。

 

感染ピーク 緊急事態宣言前

専門家会議「抑制には貢献」

 

国内の新型コロナウイルスの感染拡大について、政府の専門家会議は29日、これまでの国の対策への評価を公表した。緊急事態宣言は感染の抑制に貢献したとする一方、感染のピークは4月1日頃で、宣言前だったことも明らかにした。

感染が再び広がることを見据え、現時点での評価を行い、今後に生かす必要があると判断した。

 

 

この朝日新聞の記事は重要な意味を持っています。

武漢肺炎(「新型コロナ」という表現は新潟に実在する企業名を彷彿とさせますので、今更ながらで申し訳なかったことですが使わないように致します。)は感染してから発症するまで、およそ2週間の潜伏期間があるとされています。

 

 

従って日々発表される新規感染者の数字に関しては、感染日はその2週間前であったことが推定されます。

一面左上には、今年に入ってから5月中までの新規感染者の推移と、その推定感染日のグラフが表示されていますが、記事にも書かれている通り感染のピークが4月1日ごろ、つまり緊急事態宣言が行われる前であったことが確認できます。

 

 

これを見て思い出されるのが元内閣官房参与で京都大学教授の藤井聡氏が毎週文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」の中で、

「緊急事態は必要なかった。当時はそれが分からなかったとしても少なくとも緊急事態宣言の延長が必要なかったことは明白だった。」

「自分は感染症に関しては専門家ではないが統計に関してはプロだ。数字を見れば緊急事態宣言の前にピークアウトが起きていたことは分かっていた。」

「新型肺炎で重篤化するのは高齢者と持病持ちというデータがある。その人達だけ行動を自粛してもらって、残りの人達は手洗いとマスクによって飛沫感染を防ぐことを意識していれば普通に経済活動を行っていても問題はない。政府にはそう提言しているのに無視される。」

 

といつも怒っていたことです。

 

 

このブログでも5月8日のもので文字起こしさせてもらいましたが、藤井氏は特に政府が緊急事態宣言において明確な解除の基準を設けずに、世間の雰囲気によって宣言と延長、そして解除を行ったこと。それによって多くの人達の私権が制限され、特に多くの事業者が事業継続困難な状態に陥らされたことを強く問題視していました。

 

 

今回の朝日の記事は藤井氏の正しさを証明するものであると同時に、いかに多くのメディアが緊急事態宣言中に具体的な数字を検証する事なくいたずらに社会不安を煽ったか自省を促すものとなっています。

 

 

どこの新聞とはいいませんが、緊急事態宣言が解除された日の朝刊3面「表層真層」で「見切り発車」だの「経済優先」だのという言葉を躍らせ、あたかも首相の判断について国民が疑問を持つよう誘導していた所もありました。

そういうのはまず、本当に自社の記事が信用に足るものなのかどうかの検証を行うべきなのではないかと思います。

 

 

しかし確かにその辺りは結果論ともいえます。過ぎたことを批判しても仕方ありません。

また専門家会議の主張の通りに、緊急事態宣言が新しい感染拡大の抑制に貢献したことも事実なのだと思います。

 

 

大切なのは

・結局日本において武漢肺炎感染拡大をピークアウトさせたものが緊急事態宣言でないのなら、何が功を奏したのか。

・懸念される感染第二波にどのように備えるべきなのか、その正しい検証。

 

です。

 

 

そして今回、感染拡大の定義にしろ、緊急事態宣言の発令・その延長・解除のいずれにしても明確な基準がなく

万事世間の反応を覗いながら政府が動いていた(ようにしか見えなかった)ことは、反省すべきことだったと思います。

 

 

それについては結局のところ政府の説明が世間を納得させられるものではなかった、ということになります。

具体的な数字の根拠を示し、現在の状況説明(要するに今回これがなかった)をし、感染終息までのプロセスを説明し、世間を納得させること。

それこそが重要であったのだと思います。

 

 

ただし、それについてはメディアの国民への情報の流し方があまりに酷く、不安を煽るものでしかなかったこと。

日本の感染対策は失敗している、と初めから決めてかかり(というよりもそれを期待しているかのようでもあった)。

政府の説明を最初から真面目に聞く意思もなかった、その姿勢にも問題があったことは指摘しておかなければならないでしょう。

 

 

 

 

 
 
 

 

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