2月20日の読売新聞朝刊一面トップから。

週1回のペースで3年近く更新してきた「今朝の一面から」ブログですが、

今後は仕事の都合上、定期更新が難しくなると思います。

内容としても個人的思想の発信というものではなく、

日々のニュースに対する個人的な記録という感覚で、書いていければなと思っています。

 

さて、

ここ数日は各紙扱いに差こそあれ、ほぼ全紙が毎日一面のどこかしらで

13日に発生した北朝鮮、金正恩・朝鮮労働党委員長の異母兄、

金正男氏殺害事件についての続報を報じています。

 

20日は日経新聞を除く主要紙で、

マレーシア警察が19日に事件後初の記者会見を開き、殺害に関与した容疑者として、

北朝鮮国籍の男4人の身元を特定したと明らかにしました。

4人はいずれも事件当日にマレーシアを出国しており、

北朝鮮軍の対外工作機関・偵察総局による犯行の可能性が一層強まっている、という記事の内容です。

 

 

 

 

興味深いのは、犯行の実行犯として逮捕された二人の女性

(一人はインドネシア人のシティ容疑者、

もう一人はベトナム旅券を持っているフォン容疑者。)

は、「暗殺と知らず」犯行に関わっていたようで、

記事によると、

「アジア人の男」によって二人の女性が引き合わされ、

「他人にいたずらして驚かせる番組への出演を持ちかけ」、

「シティ容疑者は、3~4回出演し、その都度、報酬を受け取っていた」(暗殺の練習か?)

シティ容疑者は「外国の工作員による暗殺計画とは知らなかった」と供述しています。

 

計画は周到に準備されつつ、工作員自身は手を下さず

汚れ役は何も知らない一般人に行わせる、そういう犯行であったことが伺えます。

 

 

この事件の背後関係・真相は

日本でメディアの情報に触れているだけでは、決して知り得ることは不可能でしょう。

それについては19日の産経新聞「世界裏舞台」における 佐藤優氏の

 

「北朝鮮が国家として関与した暗殺事件の全容が明るみになることはない。

また各国の思惑が錯綜し、様々な情報操作が行われるため、マスメディアで

報じられる情報の真贋を判定する事が難しくなる」

 

は全くその通りと言えます。 誰も 本当のことは 分からない と言う事です。

 

佐藤氏はその後に

「それでも大きな流れは間違えずに分析できる。

金日成、金正日の血筋の金正男の存在が危険であると考えた金正恩の指令に基づいて、今回の暗殺作戦が実行されたと筆者は見ている」

と書いていますが、

他の論者によれば、暗殺計画は中国内の派閥争いによるものという意見もあったり

暗殺計画そのものは5年前から発令されていたもので、最近発せられたわけではないという論者もいます。

 

恐らくはどの意見も部分的は的を得ており、また部分的に間違っているのかもしれません。

 

しかし日本人にとって最も重要な事は、

この事件が「頭のイカれた隣国の御家騒動」として、他人事のように捉えられ、

分析が終わってしまってはならない、ということだと私は思います。

 

私は、マレーシア航空の防犯カメラに映された、

僅か数秒の間に行われる犯行を動画で見て

こうも簡単に白昼堂々と凶行が行えるものなのかと戦慄を覚えました。

 

第三国であろうと全く関係ない。

複数の工作員が堂々と入国し、いともあっさりと犯行を行い、

その日のうちに国外に逃亡できてしまう。

かつて日本でも

こんな風にして、僅かな時間の間に日本人が北朝鮮の工作員によって

連れ去られたのか、と。

 

 

 

新潟市の護国神社には

「横田めぐみさんはこの付近で北朝鮮によって拉致されました。どんな些細な情報でもお持ちの方は、云々」と書かれた板が立っています。

あの付近は本当に人通りが少ないですし、海岸を警備している様子は、少なくとも地元で生活している分には意識することは出来ません。

 

いま、あの海岸から北の工作員が侵入していないと

誰が証明できるんでしょうか?

 

金正男氏の暗殺にはVXガスが使用されたと言いますが

日本に潜伏している工作員が、あれと同じものを日本の都市部で無差別で使用すると仮定した場合

日本の当局にそれを阻む手立てはあるのでしょうか?

 

日本人にとって北朝鮮に脅威に感じるべき部分は

核ミサイルもさることながら、本当はもっと身近に潜む危険なのではないのか

そう思えてなりません。

 

そしてテレビのワイドショーや報道番組を見ながら

「北朝鮮は何をするか分からない奴ら」などと思いながら、その実、海の向こうの朝鮮半島のことなど他人事としか認識していないであろう、多くの人々に

 

それが決して対岸の火事ではない

実は明日にも日本で起こる事かもしれないと

そしてそれを防ぐためにどのような手段があるのかを

考えてもらうためには

どうすればいいのだろうかと、

考えずにはいられません。