1月29日は朝日新聞の一面トップ記事から。
この話題は28日の日経新聞にも掲載されてました。
 
 
内容としましては
政府は「働き方改革」で、これまで事実上、青天井になっていた長時間労働に対し、
労働基本法を改正し、残業時間の上限を原則として
・「月45時間」
・「年間360時間」 と規定。
 
企業の繁忙期に対応できるよう、6カ月間の例外を設け
・「月最大100時間」
・「2ヵ月の月平均80時間」を認め
その場合でも
・「年間で720時間」
・「月平均60時間」
に抑えるよう義務付ける。違反に対しては罰則を科す。
となっています。
 
 
私も印刷会社の工場で、24時間を2交代で勤務し、
夏場と年度末は休みをロクに取れない、という生活をしていたことがありましたから
長時間勤務の辛さは分かります。
 
それでも現場は労働時間が決まっていて、交代があるからまだマシな方で、
デザイン部とか、営業時代に取引があった広告会社 (電通さんもありました) が
朝から日付が変わるまで、打合せやデザイン作成に追われているのも見てきました。
 
 
正直、この記事にある
「月45時間、年間360時間」は、例外規定によってほとんど有名無実なものと思われますし
繁忙期に「月100時間」「2カ月の月平均80時間」の残業は、
それだけでも体を壊すレベルだと思います。
ですから、この労基法改正だけでは十分なものとは言えないと、個人的には思います。
 
それでも、
労働時間の上限が義務付けられ、違反に罰則が科されることが検討されているということは
「働き方改革」としては 前進 であると思います。
 
今までは労使間で協定を結べば、長時間労働を設定しても罰則がなく
それがために 「会社のために従業員が働くのは当然。それが嫌なら辞めろ」 という
現実がまかり通っていました。
 
「違反に罰則」という『強制』によって
企業にとっても 従業員の働き方を考える契機となるでしょう。
 
 
これは全くの個人的な意見ですが
私は人間には「余裕」が必要だと思います。
働くだけではなく、余暇を楽しむ余裕があってこそ
社会の消費ものび、様々な産業も発達するのだと思います。
 
「余暇があったって買い物を楽しむ余裕なんてないよ」
という人も当然いるでしょう、
そういう人達のために、企業は社員が空いた時間に副業をすることを
積極的に認めるべきだとも思います。
 
(それによって本業に支障をきたすことがあっては問題ですが)
社会全体を通じてみれば、それによって新たなカネの流れが生まれ
日本全体の経済を成長させることができます。
これも政府の「働き方改革」の考えの中にありますよね。
 
 
一番忌むべきは、従業員を奴隷かのごとく長時間拘束し
安い賃金で酷使することです。
これでは社会にカネの流れが生まれません。
 
 
 
企業には企業の言い分も当然あるでしょう。
ただでさえ人手不足が深刻な昨今です。
「一律的な労働時間の規制強化だけでは国際競争力が衰退する恐れがある」
そのような批判もあります。
 
 
それは、
新たな技術革新による省力化と、それに対する投資を
企業に期待したいところです。
(というより、
そもそも従業員の超長時間労働を前提としている事の方が間違っていますよね。
「所定労働時間内で売り上げが上がるように努力して下さい」と、私は言いたい!)
 
今なら銀行は企業に積極的に融資を行うはずです。
(ただでさえ銀行は貸出先に困った挙句に国債を買っているんですから)
 
 
これからの時代は人工知能(AI)やロボットの活用によって
(例えば印刷会社などの現場仕事は)
同じ仕事が、過去よりも少人数かつ短時間で仕上がるようになってくるでしょう。
ここで経営者は、空いた時間に次の仕事をキッチリとぶち込むのではなく
残業なんかさせずに、なるべく早く従業員が家に帰れるようにしてやるべきです。
 
従業員の待遇をよくしてれば、
その従業員は会社を辞めないでしょうから、長い目でみれば
仕事がハードすぎて従業員がよく辞めていく会社よりも
よほど会社にカネが残るのではないでしょうか。
 
仮に、
万が一にも社内で過労死者が出て、遺族が裁判を起こした場合
会社は莫大な慰謝料を遺族に払うことになります。
そのペナルティを考えれば、従業員に超長時間労働を課すことは
会社にとって何らメリットのある事ではないはずです。
 
 
今回社会問題となった電通のような広告会社の場合、
アイデアやデザインを次の打合せまでに完成させることは
誰か他の人間に代わってもらえることではありません。
必然的に担当者が長時間職場にこもって働くことになります。
 
これについては、多分に個人の仕事の能力がモノを言うのですが
やはり営業がスケジュールに余裕をもって仕事を持ってくるようにするなり
会社のノルマがあまり厳しいものになり過ぎないようにするなり
会社全体の社風を変えることによって、改善させることが出来るはずです。
 
やっぱり大手広告会社の社風はキツ過ぎますよ。
傍から見てても。
 
 
人間には余裕が本当に大切です。
心に余裕があれば考えもポジティブになります。
逆に余裕がなさすぎると、
考えはネガティブになり、
表面的にもギスギスした印象をヒトに与えます。
 
社会にとってどちらが
好ましいかは一目瞭然です。
 
企業にとっても
絶対に前者の方を心掛けた方が、
売上は伸びると思いますよ。