今週最大のニュースといえば、文句なしで
8日に行われたアメリカ大統領選挙。
日本のメディアではヒラリー候補当選を確実視していたようですが
海外メディアでは五分と見ていたとも言われ
どうも日本のメディアは情報を客観視できておらず、
自身の願望を込めたフィルターで物事を見、
国民に発信していたように見受けられます。
では日本のメディアが抱いていた願望とは何か？
それは仮にトランプ氏が当選した場合に、否応なくその必要に迫られるであろう
日本の変化を嫌い、
日本が置かれている現実を直視する事から逃避せんがために
ヒラリー氏の当選というよりも、トランプ氏の落選を望んだ。
そういう風に私には見えました。
アメリカ国民がトランプ氏を大統領に選んだ要因は何であったか？
トランプ氏が当選した後、各メディアは自らを納得させるためか一斉にその考証を始めましたが
日本人にとって最早それは、どうでも良い、とは思いませんが
「かくなる上は是非に及ばず」な事だと思います。
日本はこの結果に対しどう動くべきかということが、いうまでもなく重要です。
そう言う意味で、安倍首相が早速トランプ氏と電話会談を行い
17日にニューヨークで会う事を決めたことは素晴らしい事だと思います。
トランプ氏がアメリカ大統領になることによって
日本はどんな変化を迫られるかと言えば、
それは言うまでもなく、「安全保障の意識を根本から直さなければならない。」
ということになろうかと思います。
安倍政権が先日、野党の反対の中、衆議院を通過させたTPPも、
総論から言えばこの問題の中に含まれるでしょう。
トランプ氏は日本に対し、駐留米軍費用負担の大幅増を要求し、
日本がそれに応じない場合は在日米軍を撤退させると主張しています。
日本が自主防衛を果たすために核武装も容認する、とさえ言っています。
勿論それが即実現する可能性は低いでしょうが、
上の発言と、何よりそれを支持したアメリカ国民の本音は
「アメリカはもはや世界の警察なんかではない。自国の事だけで精一杯だ」
「パックス・アメリカーナ（アメリカの傘の下での平和）はもう終わりだ」
という、
「世界の超大国アメリカ」
の終結宣言そのものといえます。
これは日本史にとっても世界史にとっても、超重要な事です。
第二次世界大戦後の世界秩序が名実ともに終わり、
世界は新しいステージを迎えることになるからです。
そしてこれは、憲法においてわざわざ
「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼し」
「国の交戦権は、これを認めない」
と明記した上で、
国防のほとんど全てを米軍に頼る日本にとって、
国家存亡に関わる問題です。
言うなれば日本は
黒船来航による、中世幕藩体制の終焉
第二次大戦の敗戦による大日本帝国の終焉
に次ぐ、『アメリカの傘の下で繁栄した「戦後日本」』の終焉を迎えることになるのです。
『戦後レジームの脱却』を唱え、一度は挫折しながらも総理に返り咲いた、
現安倍政権下でこの時代を迎えたことは
もはや「運命」としか言いようがないでしょう。
先行きは不透明ではありますが、
少なくとも日本国内においては憲法改正の動きは大きく前進することになるでしょう。
この期に及んでまだその必要性が分からない人は、時流が読めないというより
ただ「現実逃避」をしてるだけです。
外交においては、今進められているロシアとの平和条約締結が重視されるでしょう。
北方領土問題で総理がどのような「新しいアプローチ」を見せるのか注視されます。
後は11日に日印原子力協定を結んだインドとの関係の強化。
中共を牽制する上で、この核保有国の占める位置は重要です。
因みに原子力協定については日本の核武装にも絡んだ話になってるんじゃないかと私は思っています。
TPPでアメリカが梯子を外すのであれば、いっそのこと日本が主導して残った国と始めるべきではないでしょうか。
そもそもTPPは圏内から中共の商品を締め出すことを目的とする「ブロック経済」同盟なのですからアメリカが抜けるからと言って、今更日本にとってはやらないという選択肢はないはずです。
そんなことをしたら、東南アジア諸国は競って中共の影響下に入る事でしょう。
アジアの盟主は今後とも日本である、その意志を明確に示す事がここでは重要となります。
とにもかくにも日本としては
（危険と隣り合わせとはなりますが）ようやく自主防衛、自主外交、自立自存への道を
半ば強制的に、歩くことになるのです。
ですから、私はトランプ氏当選を内心望んでいました。
そういう人は、実は結構いたと思います。
問題は自主防衛を実現するためのカネをどうするか…これは地元議員の方も言っていました。
結局現状日本が抱える問題とは、そこに行きつくんだよなあと
思わずにはいられません。