9月10日は日経新聞を含めた全国紙全てが一面トップで
北朝鮮の「核弾道爆発実験」について報じていました。

画面は毎日新聞の一面トップから。
「北朝鮮 核実験」とタイトルを付けている新聞もありますが
正確な表現は毎日新聞の、「核弾頭爆発実験」というものです。
(他は日経新聞が「核弾頭実験に成功」と表記)

他紙が核実験場の地図や上空写真を載せているのに対し、
毎日新聞が「今年の主なミサイル発射」図と並べて報じている所も
他紙よりも毎日新聞の方が、事の重要性を理解しているのだと思います。


北朝鮮の過去4回の核実験と、今回が異なるのは
「核弾道の爆発実験」であること。
「どう違うの?」と思われる方もいるでしょう

つまりミサイル(ロケットともいう)の先端に搭載できるだけの小型化した核爆弾を作成し、
それの爆発実験を行ったという事です。

核爆弾はそれを作ったとしても、それを敵の上空で爆発させないことには意味がありません。
日本の広島・長崎の原爆の場合、それをB29という大型の戦略爆撃機が運搬しました。
現代においては「大陸間弾道ミサイル(ICBM)」が行います。

北朝鮮には「テポドン2」「ノドン」などのミサイルがあり、
先月も今月もそれを日本近海に向けて発射したこと、
(日本近海といっても、発射の方角が南に向いていれば西日本に着弾していた)
日本はその発射を把握も捕捉も出来ていなかったことは
私も過去の投稿で書かせていただきました。

北朝鮮の発表を額面通りに受け止めた場合、
北朝鮮はいつでも日本上空で核爆弾を炸裂させることが可能な兵器によって
武装されているということになります。

仮に、北朝鮮の発表がハッタリで 未だ核爆弾の小型化が出来ていなかったとしても
もはやそれは4~5年の内に現実化することでしょう。
いつも日本のメディアは、北朝鮮のミサイル事件や核実験の際には
「実験は失敗か」とか書いていましたが、そんなことは極めて些末などうでもいい情報です。
失敗であっても、そのデータは残り次の成功に確実に繋がるものだからです。

もういい加減現実逃避は終わりにしましょう。
また日本を被爆地にしたくないのであるならば。




それに対する日経新聞の、「『核武装の悪夢』直視を」は良記事です。

「核やミサイルの実験を強行する北朝鮮を、各国メディアは『暴挙』『暴走』といった言葉で批判してきた。だが、彼らがやっていることはもはや、挑発などという生易しいものではない。
『北朝鮮はどんなに厳しい制裁を浴びても、計画に沿って、核武装するつもりだ。
はったりではなく、本気でそう考え、行動するだろう。』北朝鮮問題に通じた日本当局者はこう判断する。」

これが真実です。
北朝鮮は 『国際社会への許しがたい挑発』 としてなんかで核実験を繰り返しているのでは
断じてありません。
自らが生き残るうえで必要な手段として、「核武装」を選択し、実行しているのです。

なぜ北朝鮮は国際社会から孤立し、制裁を加えられても核武装へ邁進するのか、
それは彼らがイラク戦争を知っているからです。

ブッシュ・アメリカ元大統領の
「悪の枢軸国」発言によって北朝鮮と同列にされたイラクが、
国連の核査察を受け入れていたにも関わらず
アメリカによって戦争を仕掛けられ、フセインは処刑されました。
このことは強烈な教訓として金正日・金正恩の記憶に刻まれたのです。

逆に、それまで世界から孤立していながら
核武装を契機に世界の大国へとのし上がった先例は存在します。
チャイナです。
チャイナは宗主国であったソ連の核の傘から出て
ソ連・アメリカと鋭く対立しながらも原爆の開発に成功し
ソ連との共闘をカードとしてアメリカ・キッシンジャー訪中を呼び込みました。

現在の米中冷戦、
そして今後やってくるであろう米中覇権戦争に際し、
北朝鮮はまさにその役割を狙っているのです。

また北朝鮮が核武装した場合、アメリカがそれを自国への脅威として放置せず
自国勢力へ取り込むべく交渉のテーブルに着くことは容易に想定できることです。
(因みにその時はアメリカは平気で日本・韓国を捨て札とするでしょう。)
なぜなら、―日本の新聞はなぜかこの事には触れませんが―
アメリカにとって(そして日本にとって)本当に危険な国は 
吹けば飛ぶような小国の北朝鮮ではなく
南シナ海を掌握せんとし、今やアメリカと覇権を争うまでの大国となった
チャイナの方だからです。


新聞を読んでいると、
日本人の意識はどうも何か別の方向を見ているような気がします。

「日米追加制裁へ」「安保理緊急会合」「鍵となるのは中国」

国際社会の協力は確かに大切なことではありますが
本気でそんなことで北朝鮮が核を手放すと考えているのでしょうか?
やはりこの問題を現実の危機として認知出来ていないように思われます。


もし仮に北朝鮮が核を手放すとするならば それは
「核を持つ事が逆に金一族の滅亡に繋がる事態」が起こる事です。
つまり、チャイナかアメリカ あるいは双方による軍事介入によって
北朝鮮を屈服させ、停戦の条件が「核の放棄」となる、
或いは「このままではそう言う事になる」と恫喝する。
それ以外にはありえません。

もし、核武装の疑惑によって
それすら出来ないというのであれば、この問題は既に北朝鮮の勝利によって
決着がついていることになります。

凄いですね。
あんな小国でも核武装というカードによって大国を退けることが出来るのです。
ならば世界のあらゆる国が核武装を始めることでしょう。
「核ドミノ」です。
日本も生き残りのために必ず核武装しなければなりません。


本来はそこまで念頭において、この話は議論されるべきです。
なぜなら 今まさに核の脅威に晒されているのは 先月も今月もミサイルの標的
(ここはもうハッキリとそう認識し、語られるべきです。)
とされた日本だからです。

ですが、日本ではその話題はタブーです。
見たくない現実を見ないようにしているのです。

しかし
それで本当に日本人は救われるのですか。


私達は、私達の子共や孫が 
尚この国で産まれ、育って 時代を紡いでいくために
本当に考えねばならない事態が起こっている事に
もっと敏感にならねばならないように
私には思えてなりません。