今日は朝日、読売、毎日、産経、日経と
全紙一面トップに

「軽減税率で自公合意  財源1兆円で決着」

を報じています。


正直、よほどの経済通でもなければ何を書いているのか理解は困難であるかと思います。
私を含め一般の人達はまず、「は?なにが1兆円だって?」と思う事でしょう。
取り敢えず、平成29年(2017年)4月の増税時に、増税が見送られる品目が「外食を除く全食品に」なったことで、
一般庶民は「ああ、これで増税苦が和らいだ。良かった良かった。」
みたいな印象を受けるかもしれません。

…でも多分それ罠ですから。


まず、
「なにが1兆円だって?」 という話ですが
これには「百聞は一見に如かず」、公明党のポスターを見てみることにしましょう。





来年の参議院選挙を前に、
公明党が現在最も強く打ち出している政策が
消費税増税後の「『軽減税率』の実現」なのです。

自民党(というより財務省)は2017年4月に消費税を10%に増税にする、
その際、「一般庶民の味方である公明党(棒読み)」はもの凄い交渉の末、
「国民のために」1兆円も増税額を軽減させました
と、こういう話です。
(当初の自民党案では軽減額4000億だったので、自民党は公明党の顔をかなり立てたことになる。
一時、自民党の谷垣氏は外食を含めた1.3兆円案を出したようだが、それは一蹴されたそうだ。)


 
これはつまり、
来年7月の参議院選(同時に衆議院選もやるともいわれている)において
自民党は公明党に今まで以上の選挙応援を期待する見返りに、
公明党の「得点」を献上した形になるわけです。
(逆に自民党は来年の選挙で「消費増税凍結」とは言い難くなった。)

自民党としては「軽減税率を導入します」と言いつつ、
具体的な話はこじらせ先送りにし、年が明けた後
「やはり増税については再度、衆参同時選挙で民意を問う必要がある」
と言ってします「腹芸」が使えたはずなのです。


まあ、そんなことは政局の話であって、
庶民にはどうでもいい話です。

問題は、消費増税が行われることを前提に
財務省、自民党、公明党(ついでに野党連合)が政局を争っている事が問題なのです。

「軽減税率」と言ったって、
食品が現行の消費税8%に据え置かれるというだけで、
庶民の経済活動になんら寄与するものではありません。
「ちょっと得した気分」という錯覚が発生するだけなのです。

大体「軽減税率に必要な財源」てなんですか?
今取っている税金を減税するために、代わりとなる財源が必要というのなら話は分かりますが、
何で1年半後の、まだ徴収出来てもいない税金を基準にして
「軽減するのに必要な財源」が分かるんですか?
こんなのは悪質な印象操作です。


そもそも最大の問題は、
「日本経済が成長し、税収が自然増しない限り
消費増税の話は繰り返されることになる。」
ということなのです。

現に新潟日報の記事では、
「(自民、公明両党の)合意文書には、『財政健全化目標が守れない場合に10%超へ再増税する』と示唆する文言も盛り込んだ」
とあります。


ハ?( ゚Д゚)
社会保障費のために消費税増税すると言って、
軽減税率のために社会保障費を削って
それでも足りなかったら、また増税をするんですか?

じゃあ、絶対終わりませんよ。この問題。
だって増税が繰り返されれば、結果日本経済は縮小し、税収は減り、結果財政健全化は達成できないんですから。
(というか、財政健全化を推し進めた結果、ギリシャはデフォルトしましたよ?)
そしたらまた増税の話になるんですか?

こんなことしてたら最終的には日本は滅びますよ。
滅ぼしたいんですか?マジで。

…。

科学の話をしましょう。科学とはデータを用いて結論を出す作業です。
1990年を基準とし、日本の税収は横ばいですが、
イタリア、フランス、カナダ、イギリスは税収が2~3倍になっています。
政府の税収が倍増するとか、日本ではちょっと考えられないですね。
財政問題なんて一気に解決するでしょう。


 


なぜ、上記の国で税収が倍増したかといえば、
名目GDPが上昇、つまり「経済成長」が続いていたからです。
国内の景気が良くなれば政府の税収は増えます。
日本でも2013年がそうでしたね。
(グラフは2012年で切れてるのが残念ですけど)



そして、日本だけが政府債務を増やしていっています。
債務が増えるので、国民に増税を課します。
結果、景気が後退し、税収が減ります。
政府は債務を増やします。
そういう悪循環が行われてきたのが日本の「失われた20年」です。



では、どうすれば日本の景気は回復するか。
国民が消費活動に消極的なら
政府が民間に仕事を発注してやるしかありません。
よく「財政健全化のため支出をカットしなければならない」と言われます。
しかし、次の図を見てください。
他の国はもっと政府支出を増やしているんです。
増やしていて、経済成長しているのです。




 



こうして見ると、
まるで日本のやってることってグローバルスタンダードでもなんでもない、
それどころかまるで真逆じゃないですか。
そう思いませんか?

軽減税率だってそうです。
日本の場合は、8%据え置きか10%増税かですけど、
他国はもっとハッキリと差をつけているんです。
日本のはショボい、悲しい位に。
本当、なんなんだコレ

だから日本が考えるべきことは
こんな政局の道具としての「軽減税率」などではなく

どうすれば経済成長し、税収が自然増になるのか
私は「増税見送り」、或いは「減税による景気刺激」が必要なのではないか、と
(責任ある立場の人からは無責任と言われるでしょうが)そう思っています。