今日は毎日新聞の一面トップから。
米軍が近く中国が領海を主張する海域に米軍の艦船や航空機を侵入させる、という内容です。
この記事については
9月27日のブログ
65.「『ツキディディスの罠』は現実となるのか?
―米中首脳会談 南シナ海平行線、について ―」
の続きとなる内容となっています。
「話合いで解決しなければ武力に訴えるよりない」
国際社会の現実を目の当たりにし、ついこの間まで国会前で
「武力ではなく外交努力で解決を」
と主張し、デモをしていた人達がどんなことを言うのか
私は大変興味があります。
まあ、意地悪はさておき
この問題、おさらいになりますが
南シナ海は、世界の貿易商品の約4分の1が通過し、
世界の原油・液化天然ガスの約3分の1~半分が通過する
「海の大動脈」です。
日本が中東から輸入する原油も、ほぼ全てがこの海を通ります。
この海を、中国は「我が物」とし
米国が中国に対し「即刻取りやめ」を再三要求したにも関わらず、
これを公式に拒否し、岩礁を埋め立て「要塞」を建造「しました」。
これについては、 7月16日の日経新聞9面記事が必読でした。
(以下、記事引用)
「いったい、何を考えているのか」。5月下旬、米国やアジア各国の政府当局らに驚きが広がった。
中国が人工島のひとつに、ひそかに2基の大砲を配備したからだ。
(略)
中国が置いた大砲の射程は20㌖とみられ、その範囲内には他国の岩礁も入る。「あからさまに威嚇するつもりだ」。米国や周辺国はこう受け止め、緊張が走った。
(略)
(海域の軍事拠点化によって)中国の爆撃機や戦闘機は給油なしでも南シナ海の全域で行動できるようになる。
いわば「不沈空母」を持つのに等しい。
(略)
中国軍はさらに、米国に届く核ミサイルを搭載した原子力潜水艦を、南シナ海に配備しようとしている。この原潜が自由に太平洋に出られるようになれば、米国を核攻撃しやすくなり、「米国が日本に提供している『核の傘』にも影響が出かねない」(日本政府筋)
(引用終わり)
事は既に、日本の平和と安全を根底から揺るがすレベルになっており、
のみならず東南アジア各国にとってはダイレクトに自主独立を脅かされる事態になっているのです。
米国はこれを「国際秩序に明確に挑戦する行為」と判断し、
遂に軍が動く事態となりました。
当然です。
米国が仮にこれを看過した場合、
冷戦後の国際秩序が崩壊したことを意味し、
中共にしてみれば米国の圧力に屈しなかったと自信をつけ
今後は台湾、沖縄へと進軍してくることでしょう。
米国は国際社会の(「警察」は既に辞任したとして)「盟主」としての地位から転げ落ちることになるのです。
何としても、ここで中共の動きを食い止める必要があるのです。
勿論、米国としては核保有国で世界2位の大国である中共と
本気で戦争するつもりは、今の所ないでしょう。
なんとか恫喝によって中共からの譲歩を引き出したいところです。
しかし中共もまた面子を最も重んじる国です。
ここで米国に屈したとあっては、国内の反共分子を抑え込むことが出来ません。
中共外務省は会見で
「南沙諸島における中国の領海・領空を侵犯することは絶対に許さない」
と強調しています。
私は、あくまで個人的な意見ですが
世界は重大な岐路に立ったと、思っています。
第二次世界大戦後、初めて世界でトップ2の大国が軍隊をもって対峙することになりかねないからです。
米ソ冷戦時代でさえ、
両国は間に第三国を挟むなどし、両国の軍隊が直接対峙することを避けました。
今回の結果によっては
21世紀の国際社会の様相が激変し、日本にとっても独立に関わる事態となることでしょう。
私は、
米国が太平洋における全兵力を南シナ海に集結させ、
それだけで中共の戦意を挫けさせる、そういう行動に出てくれることを切望します。