(このブログは6月28日のfacebookへの書き込みを転載したものです。)

今朝は画面、日経新聞の他、朝日、毎日新聞が一面トップでこの話題は採り上げました。ギリシャ問題~ユーロ危機~国際市場の混乱、は近年の世界経済における最もホットな話題と言えるでしょう。


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この問題に関しては、
・ギリシャはデフォルトするのか?した場合ユーロはどうなるのか?世界経済にどのように影響するのか?
・ギリシャはEUを離脱するのか?そもそもEUからの離脱は前例がないので、それがEU及び世界への影響、特に東欧と西アジア諸国との安全保障問題にどう影響するのか?
・それとも現実路線としてギリシャ・チプラス首相は国民との公約を破りEU側の財政改革案を飲んで支援を延長してもらうのか。しかしそれでギリシャは本当に財政再建が出来るのか?ユーロ危機は解決するのか?


と、分からないことが多すぎ「こうなれば、こうなる」と言う事が出来ない問題です。詳しい人がいるなら是非ご意見聞かせてください。


ですがまず、「そもそも何が起きているんだ」という方(私も含め)も多いでしょうから
簡単にここまでの経緯と一面の記事に至るまでを辿ってみたいと思います。


ーギリシャ危機、これまでのあらすじー

 
・ギリシャは人口の20%が公務員が占め、政権もその公務員労組と結託してバラマキ福祉を続けていました。
国民も勤労よりも余暇を楽しみ、脱税のための所得隠しが状態化していました。


・2009年10月、ギリシャにおいて政権交代が行われ、旧政権が行ってきた財政赤字の隠蔽が明らかになりました。
それに加え、その後、ポルトガル、イタリア、アイルランド、スペイン
(これらの国の頭文字をとってPIIGS-豚どもーといいます)
が巨額の財政赤字を累積を抱えている事が明らかになります。


・「ユーロやばくね?」という疑念が世界で広がり極端なユーロ売り、ドル・円買いが行われます。ユーロ危機です。


・PIIGS諸国は工業製品やエネルギーを輸入に頼る貿易赤字国のためユーロ安で輸入価格が増大し苦しみます。ギリシャはIMF(国際通貨基金)の御厄介になることになりました。
逆にEU最大の工業国ドイツは輸出を拡大しぼろ儲けし、経済を復興させました。


・ギリシャは自国通貨ドラグマは廃止しユーロを使用しているのですが、ギリシャ自身はユーロを発行できません。
ですから財政赤字の場合、赤字分はECB(欧州中央銀行)やEU諸国から借りることになります。またIMFへの借金返済も然りです。


・ギリシャを援助する国(主にドイツだったりしますが)はギリシャに内政干渉そのまんまの財政改革を突きつけます。つまり「無駄な公共事業を止め、福祉を減らし、増税しろ」というわけです。


・ギリシャ人はこれに反発し続け、今年2月には「反緊縮の急進左派」であるチプラス政権が誕生。「お前ら本当に俺らがデフォルトしていいのか」「俺らをEUから切れるものならやってみろ」と言わんばかりの瀬戸際外交を続けながら、EUからの支援を引き出してきましたが

 
・それも今月末に迫ったIMFへの15億ユーロ(約2000億円)の返済については、全くのお手上げ状態となってしまい


窮地に陥ったチプロス・ギリシャ首相は、支援の条件であるEU側の財政改革案を呑むかどうかを国民に問う、
つまり公約違反を国民に認めてもらい、「皆で痛みに耐えよう」と訴え、それを認めてもらう選挙を7月5日に行うことを表明します。
だから今月末の支払いを肩代わりしてくれ、というわけです。


・で、今はここ。
EUはギリシャへの支援を拒否します。
(以上、長くなってしまいましたが、あらすじ終わり)


そして、この後どうなってしまうかは誰にも分からない、
という状況にあります。


ですが、実際のところ
主に援助金を出すドイツ人はギリシャ人を自分達の血税で支援することに怒り反対していますが、


ドイツ国メルケル首相としては
こういうEUの落ちこぼれは必要な存在なのです。
何故ならドイツがユーロを導入する以前の通貨「マルク」を使用していた場合、
欧州で最も経済が強く、輸出一人勝ちをしているドイツは、
現在必ず「マルク高不況」に陥っていたはずだからです。


ユーロ危機を演出してくれる小国があるために、ドイツは輸出で稼げるのです。

 
現在ドイツは、「ユーロ」と言う欧州統一通貨を用いることで経済で欧州に君臨しています。
「ドイツ第四帝国」という皮肉を込めた呼び方さえあります。
(「経済は世界史から学べ」ダイヤモンド社 p37)

 
因みに、イギリスがユーロではなく従来通りポンドを使用しているのは、自国通貨発行権を失うリスクを承知しているためです。


ひょっとしたらドイツは今回のギリシャに関しては他の欧州国への見せしめのためにあえて破綻させるかもしれません。
それによる世界への経済混乱さえも、現在のドイツは自らの力に変える自信があるのでしょう。

 
現在の国際的混乱も、
結局は強者による演出に過ぎないのかもしれないのです。