(このブログは3月29日のfacebookへの書き込みを転載したものです。)
この記事だけ読むと
『中国様にADB(アジア開発銀行)のノウハウを提供するために早く日本も参加するんだ』
と書いてあるようにしか読めないんですよね。
アジア諸国で需要のあるインフレ建設のための資金を融資すべく
2013年に中国が設立を提唱したのが「アジア投資銀行(AIIB)」です。
私も詳しくは知りませんので、書くことに誤りがあれば詳しい方が指摘してくださると大変ありがたいと思います。
現在でも同種の機関は「世界銀行」や、日本が主導する「アジア開発銀行(ADB)」があるのですが、
「アジアの発展のためにはそれだけでは到底賄いきれない」というのが中国の主張でして、表向きは
「AIIBは世界銀行やADBと補い合いながら共に歩んでいきたい。日本やアメリカにも是非参加してもらいたい」
と言っています。
が、本音では上記の機関では中国が旨みを味わえない為、
日米が持つノウハウを盗みつつ自身が大きな影響力を持つ新しい国際金融機関を持ちたい、というのが下記の動画で桜井よしこ氏が述べている事でした。
https://www.youtube.com/watch?v=V2U9SXEiShg
今朝の朝新聞の記事ではイギリスを始め、ドイツ、フランス、イタリアなど欧州主要国、韓国、ブラジル、ロシアなどがドミノ倒し式にAIIBに参加表明したことを報じ、
「約40カ国が参加を表明し、経済規模を示すGDPを合計すると約33兆ドルで世界全体の約45%を占める。」
とし、
その背景には新興国が
「国際通貨基金(IMF)改革が米議会の反対で進まない現状に、『米国こそこれまでの金融秩序を道具にしてきた』」と不信を抱いてきた」
ことを理由に挙げています。確かにこれは事実ですが。
そして米国に追従する日本に対して
「『少数派』の立場となり、地域経済での影響力が揺らぐ懸念もある。」
とご丁寧な警鐘を鳴らしています。
ただ日米には、歴代総裁を日本人が勤めている「アジア開発銀行(ADB)」と言うものが既にあって、こちらは世界67カ国/地域、今回報じられたAIIB参加国のほとんどが参加しています。
これから設立され、上手くいくかどうかも不透明なAIIBと違い
歴史と実績もあります。
…日本、「『少数派』の立場」になりますかね。
因みに欧州各国がAIIBへの参加を表明しているのは、ADBでは日本企業ばかりにアジアインフラ工事の受注が行くので、AIIBならば上手いビジネスチャンスにありつけるかなという思惑があるようです。
日中を両天秤に掛けているわけですね。
その辺りについては下記の動画で三橋貴明氏が語っています。
https://www.youtube.com/watch?v=YDHQ0yb8nQQ
日本もやることはやっているということなんですね。
ということは、日本が「少数派」にならないためにすべき事は
中国にノウハウを盗まれるリスクのあるAIIBへの参加よりも、欧州各国への利益供与じゃないですか。
驚くのは27日の朝日新聞で
「韓国参加 日本、苦しい立場に」とかいう記事を書いているんですけど、
この辺はお馴染みの「日本アジアで孤立」を思い起こさせるものがありました。
基本的に、日本のメリットがあるような話ではないと思いますし、
だからこそ日本政府も参加見送りを表明しているのですが、
反面で、
「もし米国が入るというのなら、日本が入らないという選択肢はない」
という政府高官の言葉もあるようで、
本当に日本外交の自主性のなさ、というより弱さに対して暗い気持ちになります。
そして、国内に問題を抱えながらも着実に国際的
経済大国、政治大国への道を進んでいく中国の貪欲な姿勢には畏怖の念を覚えます。
この件でむしろ問題にすべきは、
主要同盟国をきちんと繋ぎ止めておくことのできない米国の衰退ぶりと
国際政治学のパワーバランスの変化について
なのだと思います。