今朝は、日経新聞を除く全ての一般紙がこの件を一面トップで扱っています。
 
画像は普段あまり用いる機会がない産経新聞のものを使用しています。

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この事件の概要を時系列にまとめると以下のようになります。


①7日。パリ市内の風刺週刊紙「シャルリー・エブト」本社を、アルジェリア系フランス人のクアシ兄弟が銃撃。記者ら12人が死亡。


②8日。パリ南部において、兄弟と連絡を取り合っていたマリ系フランス人クリバリ容疑者が女性警官を銃撃、1人が死亡。


③9日。クアシ兄弟、パリ北部の町で車を奪い、パリ郊外の工場に立てこもる。
クリバリ容疑者、パリ東部のユダヤ系スーパーに立てこもる。


④同日。クアシ兄弟、工場を包囲した特殊部隊と応戦し、死亡。人質1人を開放。


⑤同日。クリバリ容疑者の立てこもるスーパーに特殊部隊が突入し容疑者を射殺。人質4人は突入前に死亡も残る15人が解放。


クリバリ容疑者のパートナーである女性は依然逃亡中。
またクリバリ容疑者は籠城中、複数の仲間に電話でパリ周辺の警察署などを襲撃するよう依頼し、同時多発テロを起こそうとしていたということです。


テロは特殊部隊の突入で未遂に終わったものの、
AP通信が今回の事件を「AQAP(アラビア半島のアルカイーダ)指導部が指示したもの」と報じ、

クリバリ容疑者もまた籠城中の電話インタビューで、自らを「イスラム国」のメンバーであると語ったとされ、


それらが事実がどうかはともかく、フランス内に過激思想信奉者のネットワークが浸透している事実が浮き彫りとなった形となりました。

 
因みに、「アルカイーダ」と「イスラム国」は

ーどちらが『聖戦(ジハード)』の盟主たるかー

で対立関係にあったので、
今回の事件では「現場レベルでは『同じイスラム教徒だから』として手を組むこともあるのか」という見方もされています。


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結論を最初に書きますと、
キリスト教諸国はイスラム過激主義者のテロと戦う以前に、
自らの価値観をイスラム教徒に押しつけた過去を反省する必要があります。
それについては「余談」以降に書きました。
ですが神の教えが絡む以上、双方の融和は難しいのでしょうか?


さて、
「シャルリー・エブト」襲撃直後こそ、「表現の自由への挑戦だ」「いや宗教への冒涜は慎むべきだ」というような論調で語れていたものの、
すぐにとんでもなく複雑で深刻な問題であったことが分かった形になりました。

 
治安面での対応、被疑者への監視態勢などいっぱいあるのですが、
一つを上げるならば彼らが
「ホームグロウン(国内育ち)・テロ」であったことです。

 
彼らは生まれも育ちもフランスという、れっきとしてフランス人です。
血縁的に中東には縁もゆかりもない(クアシ兄はイエメンに訓練に行った過去があるようですが)。つまりテロ組織から送り込まれた工作員ではないということです。

二人に共通していたのは過激なイスラム教徒であったこと。
(誤解がないように書いておきますが、イスラム教徒の大多数は全く社会性に問題のない敬虔な人達です。)
この事件以前から前歴があり、二人は刑務所で出会いました。

そして移民の子孫であったこと、です。
フランスには移民排斥運動がありますので、純血のフランス人との間に何らかの心情的な壁があり、それがイスラム過激主義へと彼らを走らせた可能性があります。

 
今回の事件で今後は欧州各国で「移民排斥」「イスラム教への偏見・差別」が広がっていくでしょう。
無論、「移民でイスラム教徒」が全員悪であるというはずがありません。
差別は当然否定されるべきことです。


その反面で国内に「自国民による」テロのネットワークが出来上がっているとあっては、各国政府は何らかの対応に迫られるでしょう。


そして今回人々の中には「テロリストは外国から入ってくるのではない」「誰がテロリストなのかが分からない」という不信が芽生えました。
その不信は今後欧州全体を暗く覆い隠していくことになり、国の政策如何によっては、やがて次の暴力を誘発していくことになるでしょう。

デビルマンの最終章のようですね。



そして、我が国日本のことです。

今回の事件で間違いなく、
「集団的自衛権によってアメリカに追従する日本も、今後はテロの標的になる」
と言う人が出てきます。それも間違いではないのですが。


それよりも留意すべきは「世界にはこういう問題があるのに、本当に移民なんて入れるんですか?」ってことです。
移民を入れる場合、おそらく大多数は隣国からやってきて、しかも彼らは文化・主義・信条全てが日本と全く相容れないわけです。

勿論、隣国から入ってくる人の多くは良い人でしょうから、差別はいけないことです。

しかし、
隣国との関係によっては間違いなくテロが頻発し、あるいは表沙汰にならない事件が多発することになるでしょう。だって隣ではそういう教育をしているんですから。


というより何より、
上記の事はすでに起こっていますよね。

今回の事件と同じ「ホームグロウン・テロ」は、
実際日本でも起こっています。

 

日本で生まれ育っていながら
ー尤もこの場合は国籍が日本ではありませんがー
信仰の対象である本国の指示に従って日本人を拉致することに協力し、その日本人の多くは殺され、生き残った者は洗脳され、その正確な実数は把握すら出来ないという。

そして今尚、表沙汰にならない犯罪は起きている。

 
性質が悪い事に、イスラム過激派は信仰上の理由からテロを行いますが、彼らは日本の破壊工作活動を目的としてテロを行います。
この件に関しては日本側に過去を反省する必要はありません。
過去の保障は全て済んでいますし、なにより日本は「余談」のようなことはしていません。

 
幸いまだ日本はイスラム過激派の標的にはなっていませんが、
今回の事件は日本人にとって他人事ではなく、
明日実際起こる事件でもあると捉えるべきでしょう。


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以下、余談。

個人的にはイスラム教徒の過激派が「聖戦(ジハード)」を謳うようになったのは、
アメリカの「『グローバリズム』とかいう名のアメリカンイムズの押し付け」のせいだと思っています。

テロは間違いなく犯罪ですが、アメリカが行っている空爆や、イスラエルが行っている虐殺も間違いなく許されざる犯罪です。
ただイスラム教徒はこれらに対抗しうる軍隊を保持していないので、テロという犯罪で対抗しているのです。

イスラム教徒が暴力で自由と信仰に圧力を加えているのではありません。
それをしているのはユダヤ人とそれに従っているアメリカ人で、
日欧諸国は政治的にそれに巻き込まれているのです。