今日は、雪が降ったり止んだり、

 

時たま 日が差して、最高気温は1度でも暖かいと感じた日。

 

先日から 寒い凍る日々を過ごしていて、

 

自宅や訪問先の自分の車を停めるのに、雪かきに追われ、

 

全く 気持ちに余裕がなかったんだけど、

 

マイナスの気温に触れて、極寒という漢字を身近に感じ、

 

先達て借りた『ロシアの昔話』のおはなしに

 

珍しく感情移入してしまったわ。

 

 

 

この本の中の、小さな子ども向けではなく、高学年以上かな、

 

【冬将軍のマロース】という おはなしがあるの 知ってる?

 

すごい寒いの。凍り付くおはなし。

 

あらすじ・・・

 

昔、おじいさんとおばあさんが住んでいて、

二人には、娘が三人。

上の娘は おじいさんの娘で 名はマルファ。

二人の妹は おばあさんの連れ子で、おばあさんは、マルファが憎くて、

マルファにばかり、家の仕事を押しつけ、叱りつけるけれど、

マルファは、継母と怠け者の妹たちに気に入られるよう、

せっせと働く気立てのよい娘。

 

やがて、三人の娘は年頃になり、

おじいさんは皆を嫁に出したいと思っていたが、

おばあさんはマルファを厄介払いしたいと思っていた。

 

ある日、おばあさんは、おじいさんとマルファに、

「マルファを嫁に出すから、明日は、新しいルバーシカを着て、

自分の荷物を用意するように」と言い渡し、

「お前の顔は十分見飽きた、お前は冬将軍のマロースのところへ

嫁に行くんだ」と言われると、

マルファは悲しくて泣き出すけれど、継母はたたみかけるように、

「めそめそすることはないさ、

婿さんは男前で、金持ち、そのうえ豪傑ときている」

歳をとって、体の弱いおじいさんは、何も言えなかった。

 

あくる朝、おじいさんは、馬ソリにマルファを乗せ、

モミの林を抜けて、大きな松の木の下まで来ると、

「ここで 花婿を待つんだ。くれぐれも優しく花婿を迎えるんだよ」

 と マルファに言うと、馬の向きを変えて戻っていった。

 

あとに残されたマルファは、寒いのを堪え、座って待っていた。

体がどんどん冷えて震えだし、歯がカチカチと鳴りだすと、

 

木の枝が凍ってはじける ピシッパシッという音が聞こえてきた。

(私のイメージでは ピリッ、パリリッ)

高いモミの木の間を 冬将軍のマロースが近づいてきたのだ。

 

マロースはマルファがいる松の木の上まで来ると、言った。

「娘さんや、暖かいかね?」

マルファは寒さを堪えて、

「ええ、暖かいわ、マロースさん」

マロースが降りてくるにつれて、木々はますます凍りつき、

激しくピシッパシッと枝を鳴らす。

「娘さん、これでも暖かいかね。きれいな娘さんや」

マルファの息は、凍りつきそうだったけれど、

「ええ、暖かいわ、マロースさん、暖かいわ」

マロースは、もっと低く降りてきて、もっと激しく枝を鳴らし、

「暖かいかね、娘さん、これでも暖かいかね、

綺麗な娘さん、暖かいかね、綺麗な子」

マルファは、ようやく聞き取れるような かすかな声で、

「ええ、暖かいわ、マロースさん」

 

マロースは娘がかわいそうになって、マルファに上等の毛皮の外套を着せ、

暖かい毛布でくるんでやった。

そのうえ美しいベールをかぶせ、贈り物まで置いていった。

 

次の朝、おじいさんは おばあさんに若夫婦を迎えに行けと言われ、

そりでマルファの所へ来てみると、

マルファは生きていて、たくさんの贈り物と一緒に家に帰った。

 

おばあさんは、帰ってきたマルファを見て、驚き、

上等の毛皮や贈り物に吃驚し、

今度は自分の娘たちを、マロースに嫁にやることにした。

娘たちに晴れ着を着せ、おじいさんは、前と同じ道を通って、

前と同じ松の木の下に娘たちを置いてきた。

 

娘たちは笑いながら話ていたが、

だんだん寒くなって、花婿が来ないことに文句を言い出した。

そして、花嫁が二人いて、もし花婿がひとりだったら

どっちを選ぶだろうか と喧嘩が始まる。

そのうち、遠くの方で、ピシッ、パシッと凍った枝がはじける音が聞こえてきた。

マロースは松の木の上までくると、

「暖かいかね?娘さんたち、暖かいかね」

「とんでもない、寒くてたまらないよ。花婿を待っているのに、ちっとも来ないのさ」

マロースは下の方に降りてきて、枝を鳴らす。

「暖かいかね、娘さんたち、暖かいかね、綺麗な娘さんたち」

「お前なんか 向こうにいっとくれ!」

マロースはもっと低く降りてきて、氷のような息を吐いて、

「暖かいかね、娘さんたち」

「とっとと行ってしまえ!!」

 

そう言ったとたん、二人は凍って死んでしまった。

 

次の朝、おばあさんは、おじいさんに二人を迎えに行かせたが、

松の木の下に行ってみると、二人とも死んでいた。

おばあさんは、火のように怒って、おじいさんを怒鳴りつけたけれど、

おじいさんは、

「もうたくさんだ、ばあさん、お前は欲張りで娘たちは我が儘だった。

全部、お前が望んだことだ」

 

やがて、マルファは村の若者と結婚して、幸せに暮らした。

 

 

*ルバーシカ・・・ロシアの民族衣装で、女性のは華やかなブラウス。

           その上にサロペットみたいなスカートを穿く。

 

寒い、寒いおはなしです。

 

マロースが近づいてくる気配や、張りつめた寒さ、

マルファの健気さ、

おばあさんの性悪さ、

妹たちのかけあい など、

課題は盛りだくさん。

 

でも、一番はマロースの冷たさを加味した息づかいだな。

次の冬は、極寒ではないかもしれないけれど、

それまでには準備できるかな。(仕上がりは一年後?)

 おとな向けのおはなし会で語りたい。