先達て、NHKの木曜ドラマ【ちかえもん】が 面白いと記事をあげたのですが、


ドラマは2週目となり、近松門左衛門の"曽根崎心中"の登場人物が、現れ始めた感があります。


近松(松尾スズキ)の 心の声は、相変わらず 情けなくおかしいです。


さて、その記事にコメントくださった 関東のマダム よらひくさんが、


『仏果を得ず』(双葉社)っていう 三浦しをんの本をご紹介くださったのです。


今週初めに ブックオフへ行ってみたら、なんと 108円コーナーに文庫本ありました。


早速 読みました。


文楽に初めて触れる私でも すいすいと面白く読めていけました。

目次は 演目 となっていて、

一、幕開き三番曳    まくあきさんばそう

二、女殺油地獄     おんなごろあぶらのじごく

三、日高川入相花王  ひだかがわいりあいざくら

四、ひらかな盛衰記   ひらかなせいすいき

五、本朝廿四孝     ほんちょうにじゅうしこう

六、心中天の網島    しんじゅうてんのあみじま

七、妹背山婦女庭訓  いもせやまおんなていきん

八、仮名手本忠臣蔵  かなてほんちゅうしんぐら

 

目次だけみると その内容が書かれていると思いがちだけれど、違うの。


 主人公の笹本健大夫(ささもとたけるだゆう)って義太夫(ぎだゆう)が、

 この演目に挑む過程が書かれているの。


 文楽 (人形浄瑠璃)を知らない人の為に ちょっと説明すると、


文楽は、人形遣い(人形を操る人(黒子の3人))、大夫、三味線で成り立っているのよ。


 そして、私が 一番 びっくりというか、へぇ~と思ったのが、


 大夫が 三味線に合わせて、語るということ。語るということばを使うこと。


 読み進めていくと、

 私自身が かれこれ16年続けてきている 語り(ストーリーテリング)と 


なんだか つながる文章があちこちにあって、行きつ戻りつしながら 読みましたよ。



>文字に書かれてあるものが、語り手の口によって、立ち上がり 物語が動く。

(仏果を得ず では、三味線の始めの一音で、文字に生命が宿り、大夫の目と心のうちで踊りだす。とあります。)


>何度か語っていても、登場人物を深く掴みきれていなくて、もやもやとする。

(いつまでも固まらないゼリーみたいに、登場人物は自分のなかで形を成さずたぷたぷ揺れる。)

 

なんて うまい表現だこと。


読み進めながら、頼りなげだった主人公が、


芸を、磨くということが、苦しく 厳しく、でも楽しくて仕方ない。

そして、最後の演目で、自分にとって 一番のことが 芸の道だと 確信する。


その時には、逞しく 独り立ちした主人公に成長していたのです。


あー面白かった。


私自身の おはなしとの向き合い方も 再確認させてもらえた気がします。


読み終わってから、大阪の国立文楽劇場を検索して、公演をチェックしました。


今年は 一度は 鑑賞したいな~


それまでに もうちょっと 文楽についての下調べをしておこう。


楽しみになってきたなぁ。