おこもり宣言をして 約1ヶ月になります。

ロシア熱に 浮かされ ようやく解熱に向かっていますよ。


これから先は、絵本をよく眺め、読み聞かせされている人しか、

興味がない内容かな、いや、その方々も、別に知らなくても全然よい内容です。

スルーOKです。


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ロシアの絵本というと、『てぶくろ』が 印象的ですが、これはウクライナの民話です。

ロシアの最初の民族は、ウクライナやベラルーシのスラブ民族です。

ロシアの西、ヨーロッパの東という位置ですね。



てぶくろ―ウクライナ民話 (世界傑作絵本シリーズ―ロシアの絵本)/福音館書店



挿絵作家のラチョフ氏(1906~1997)

ラチョフさんは、ロシア革命後の1930年ころから活躍しています。


ロシアの絵本を分類すると、

1917年のロシア革命以前の絵本    ロマノフ王朝の帝政ロシア時代 緻密で繊細な美意識
                   代表される画家は イワン・ビリービン

1920年~1930年代の絵本   識字率の低さから、まず教育を。みごとなグラフィズムに比べ、
                   造本は簡素で粗悪。大量の部数を廉価で販売。

1940年~1960年代の絵本  この時期は 社会主義リアリズムしか許されていない時代。
                   ラチョフ氏は、写実的な作品を描きます。


『てぶくろ』ウクライナ民話は 初版1950年に出版 この頃のロシアは ソビエト連邦の時代です。



こちらは 1978年初版です。ラチョフ氏は 描き直しました。登場人物はすべて同じです。
表紙からも 明るくて のびのびした感じが受け取れます。
簡素化されて、ちょっとアニメチックな絵になっています。
1950年版は、手袋の背景の空は灰青(暮れかかる空模様は秀逸なのですが)とは、
違う国のように思えてしまいます。



『わたしのお城』 (岩崎書店) ロシアの昔話     1968年初版 
A・トルストイ 再話 E・ラチョフ 絵 宮川やすえ 訳


登場人物が微妙に変わります。住処にするのは 小さな壺。
『てぶくろ』と おはなしの進行は同じなのですが、最期に登場する熊に
住処の壺を 踏みつけられて終わるという結末には え?と驚きます。

この類話はたくさんあるのですが、登場人物に イノシシが出てくるのは ウクライナ民話だけ。
このロシアの絵本にも もちろん イノシシは登場しません。

{30015F9F-20A9-4859-9693-9084DA9A2758:01}  

すこし もどりますが、ラチョフ氏は どうして『てぶくろ』を描き直したのか?

これをさぐる おこもりでもありました。

ラチョフの夫人が、1978年の描き直しは、
"新しい絵は色彩豊かになり、それまでラチョフの絵の特徴だった登場人物の
黒い輪郭線も消えている。ウクライナの伝統的な装飾模様も、これまで以上に
よく合っている。" ラチョーフシリーズ2『麦の穂』 カバー折り返しに記載


夫人がおっしゃるとおり、新しい『てぶくろ』からは、明るい太陽の下で
繰り広げられているおはなしで、きらきらとしています。

ウクライナ人はロシア人より明るく陽気。78年版は、その陽気な気質や色鮮やかな装飾がある。
ウクライナの長い冬に、たまに、開放感を感じさせる日がある。真っ青な空に明るい太陽。とにかく寒いけれど、気分は上々。
そんな日には、皆んな 外に飛び出してしまう。そんな絵本になっている。『カスチョール』第21号(カスチョール編集部)

でも、私は 背景が薄暗く、時間の経過が雪の積もり方や、空の色で伝わり、
動物が二足歩行し、人間くさくなっている1950年版を 使いたいです。
やはり、熊が 手袋におさまってる絵は 受け入れられません。
50年版の 「これで7匹になりました」の文だけで、熊が入るのは無理だと思うのに手袋におさまったとイメージできる、面白さがありませんか?


今回 いろいろな資料を読みふけり、驚きの事実を知りました。『カスチョール』第31号

私が 大好きなスズキコージ氏は、『ゆきむすめ』だけがロシアの本だと思っていたのですが、

ゆきむすめ―ロシアの民話/岸田 衿子
 

このビリケン出版の前に、世界文化社から出版。この絵本が処女絵本1971年



なんと 本棚にあったこちらの本も ロシアの絵本でした。

『ひつじかいとうさぎ』ラトビア民話
『ガラスめだまときんのつののヤギ』 ベラルーシ民話
『きゅうりさんあぶないよ』ロシアの昔話 


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『ガラスめだまときんのつののヤギ』は ベラルーシですが、
ブラルーシは 白ロシア(ハクロシア)と言われていた時代があります。
白はロシア語で西の意味だそう。



そして、次に、

挿絵は日本人なのですが、文を書いたのは ロシアの児童文学作家 
動物文学で世界的に知られる 

ヴィタリー・ヴァレンチーノビアンキ の絵本

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『くちばし』は 絶版しましたが、題名を変えて出版されています。




こちらは 図書館でかりてきましたが、幻といわれている1920~1930年の絵本を

詳しく紹介してくれています。

表紙の作家は マヤコフスキー。社会主義時代、弾圧され抑圧され、表現の自由を奪われ、

銃自殺した人です。



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この時代の絵本は、上記にありますが、

識字率を高めるため、子どもを教育するために、グラフックなデザインで、


階級教育、国際教育、労働者教育の要素を盛り込み、大量出版・廉価なつくり。ホチキス止め。




この時代の絵本が 復刻されています。図書館では禁帯の本となっていました。
(図書館内でしか 閲覧できない。借りることができない本)
手のひらサイズの絵本もあり、切り抜いて遊べるものありました。眺めていて楽しい絵本たち。
「幻のロシア絵本」復刻シリーズ/サムイル マルシャーク
¥15,429
Amazon.co.jp
今回、ロシアの絵本に触れるために、ロシアの歴史にも ちょこっと触れて、

知らなかったことばかりだったことに 少し恥ずかしさ感じました。

私が ロシアの昔話を好むのは何故かしら?と いう疑問も、ロシアは識字率が低かったけれど、

伝承の昔話の宝庫であったことを知り、耳で聴く民族だったのだな と納得。

これからも ロシアの昔話 どんどん語っていきたいと思います。

イワン・ビリービンについては また いつか書けたら と思います。
今回は 盛りだくさん過ぎでした。