鬼講義の前に、


今日、1月25日は 【 天神講 】 (てんじんこう)


25日は 学問の神様 菅原道真の命日にちなんだ「天神講」。


正月から25日まで、床の間に飾った天神様の掛け軸をしまうのに合わせ、


焼きカレイとお神酒を供える風習が、福井県の嶺北地方にあります。


道真公が、カレイを好んだことや、この時期によく捕れ、尾頭付きでも比較的安価なことが理由と


されています。(福井新聞より)


でも、私は、この風習は ヘルパーを始めた頃 知りました。出身は越前市なのですが、


全く そんなの聞いたこと無し。現在住んでいる市でも 無し。


でも、夫の父が、息子が生まれた時の孫渡しに、天神様の掛け軸をくれたので、


男の子への孫渡しは、掛け軸が通例なのかもしれません。



さて、鬼講義 まいります。


赤羽末吉の描く 「鬼」


  赤羽末吉をご存知ない方のために・・・Wikipediaより


  1961年、50歳になった赤羽は福音館書店 松居直 編集長を訪ねて絵本を描きたいと語り、

  瀬田貞二 再話による『かさじぞう』(『こどものとも 』58号)で挿絵を描き絵本画家としてデビュー。


1.赤羽末吉の表現

 ①昔話に絵をつける・・・昔話を大事にする

 ②他者の再話した物語の絵を描く・・・徹底的に文を読み取り(背景) 描く

 ③和紙を素材とする。日本画の絵の具を使用・・・岩絵の具

 ④自分で文も絵も描いたものが10冊程度ある


2,『鬼ぞろぞろ』

鬼ぞろぞろ (赤羽末吉の絵本)/舟崎 克彦
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  →『今昔物語集』巻16の第32 穏形ノ男、六角堂ノ助ケニ依リ、身ヲ顕ス語

    大晦日の夜、ある若者が一条堀川の橋の上で百鬼夜行に出会い、鬼に唾を

    かけられて姿を消されてしまう。しかし、六角堂の観音様に祈念して元の姿に戻る。

   絵本は、原作とは変えてある。自分から改心する。

   絵本の鬼の集団は、鬼の周囲には霞がかかっていて、姿がはっきり見えないのだが、

   それによって、さらなる恐怖心をそそる。

3.『こぶじいさま』

こぶじいさま(こどものとも絵本)/松居 直
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 →『宇治拾遺物語』 巻第1の3 「鬼に瘤取らるる事」

  酒宴を催している鬼。怨念を晴らすための集会でなく、悦楽・友好・団欒の為なので、

  乱入者の「爺さま」を容易に受け入れる。

  『鬼ぞろぞろ』の鬼達に比べると、鬼の恐怖心が薄い。・・・隣の爺さまに、瘤を返す(くっつける)

                                      のだから、悪い鬼ではない。


4.『だいくとおにろく』

だいくとおにろく(こどものとも絵本)/松居 直
¥840  Amazon.co.jp

 →水田光(みずたみつ) 『お話の実際』 大正6年・・・北欧の教会建立伝説「鬼の橋」

  人間より優位に立った 悪魔、鬼。結末では、人間の知恵によって立場が逆転・消滅。

  日本の「大工と鬼六」は、名前をいい当てるという言霊信仰の事例としても挙げられる。

  鬼の愚かさ、滑稽さが前面に出る。鬼には知恵と情感が欠けている為(三本指)、

  人間と区別される。


  絵の構図・・・・鬼の下半身を描かないことで、大きいことを想像させる。


5.『ももたろう』


ももたろう (日本傑作絵本シリーズ)/まつい ただし
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鬼ヶ島に到着したところの画面が、大きな門で二分する。鬼の表情には余裕を伺わせる。同格。

物理的に小さいキジが、鬼と同格の大きさ・・・小さくなる鬼。力関係が明白に変わる。


キジの守られた姫・・・文章には書かれていない。

『ももたろう』の鬼は勧善懲悪の典型的な姿



6.『にぎりめしごろごろ』


にぎりめし ごろごろ (こどものとも傑作集)/小林 輝子
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 楽しみを無粋な声で邪魔された被害者としての鬼

 鶏の鳴き真似に騙されて逃げる鬼

 食べ残しや衣類の散乱が愚かしさを出している

  恐ろしさが剥がれ、滑稽さが前面にでている

  完全な悪ではない・・・鬼たちの目が違う。昔のギロギロした絵と比較



7.『鬼のうで』


鬼のうで (赤羽末吉の絵本)/赤羽 末吉
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 →『御伽草子』の中の「酒呑童子」(しゅてんどうじ)

   丹波の大江山にすむ酒呑童子という鬼が、都に住む女性を次々と攫う。そこへ、勇猛果敢な

   武将源頼光とその部下達が退治に行く。山伏に変装した頼光達が、鬼の屋敷で酒を酌み交わし、

   そこで、酒呑童子の部下の茨木童子が頼光の部下の渡辺網に腕を切り落とされる。


   絵・文ともに描き、表現の制約にとらわれず、遊び心も伴わせながら、奔放に迫力ある鬼を描く。



人間の持つ二つの心 (理性的な面と感情に走り醜悪さを表面化する面)  

これらをたくさんの鬼で描写したのではないか。


谷出教授は このように締めくくられました。