単身赴任かずモンのお弁当アーカイブ☆彡(0056)茶

茶は中国から日本に伝わったと思われいますが、いつどのように伝わったのか諸説あります。

記録によると奈良時代、天平元年(729年)、聖武天皇の時代に「宮中に僧を召して茶を賜った」とあります。

茶の再興は、栄西が1191年に宋(南宋)から種子や苗木を持ち帰ってからです。栄西は、1187年から5年間の2回目の渡宋中、素朴を尊ぶ禅寺での抹茶の飲み方を会得して帰ったと考えられています。初めは薬としての用法が主でした。戦場で、現在の何倍も濃い抹茶を飲んで眠気を覚ましたといわれます。

栽培が普及するとともに嗜好品として飲まれるようになりました。

日本茶道の祖である南浦紹明により、中国より茶道具などととみに当時、径山寺などで盛んに行われていた茶会などの作法が伝わり、次第に主人と客との精神的交流を重視した独自の茶の湯へと発展しました。

緑茶は飲むだけでなく、食べるものです。

抹茶は、茶葉を乾燥させて粉末状にしたもので、お茶の栄養成分を丸ごと摂取できます。濃茶やお薄では、まず御菓子をどうぞと言われます。お茶の成分が強いので胃を守るための知恵です。

 


一方、小川流の煎茶では、玉露、煎茶を三番茶くらいまでいただいた後に御菓子をいただきます。台湾などでも茶館でお茶をいただきます。

信楽狸を買って、小川流煎茶

 

台北の茶館で



抹茶を湯で飲むのはもちろんですが、粉を天麩羅の衣に混ぜたり、パスタに和えることもできます。

茶の水溶性の成分は、お茶を煎れると抽出されますが、70%の栄養成分は茶殻に残っています。茶殻に、ビタミンEやカロテン、食物繊維といった不溶性の成分が含まれています。だから茶殻を料理に使います。

緑茶の栄養には水に溶ける「水溶性」のもの、油に溶ける「脂溶性」のものがあります。ビタミンCやカテキンは水溶性、これが3割程度、残り7割はほとんど脂溶性のため、茶葉に残ります。例えばβ-カロテンはニンジンの2.4倍含まれていますが、体内でビタミンAに変わり、視力回復や髪、爪、肌作りに効果があります。また抗酸化作用があり血行を改善すると言われるビタミンEはほうれん草の25倍含まれ、その他胃の動きを整え抗菌、殺菌作用も持つクロロフィルや食物繊維なども脂溶性で茶葉に残っています。

茶殻をフライパンで炒って醤油や鰹節、胡麻を加えてふりかけにします。

ウェザーニュースでは、以前、お茶っ葉を食べたことがありますかいうアンケート調査を行いました(8046人回答)。その結果を示すグラフです。

もう一つ、夏場のお茶の問題があります。水出しのお茶です。緑茶をたっぷり容器に入れて水を加えて冷蔵庫に置きます。数時間後に茶こしを使って冷えたお茶を飲むのが好きです。とても美味しいのですが、細菌が増殖する危険があります。重要なのは容器の衛生管理です。

SNSで水出し紅茶の衛生面を懸念する声が広まったことがあります。紅茶は「熱湯で淹れて飲むことが前提」とされているため「出しという飲み方は想定されていない」と拡散されたのです。

ただしくは緑茶も紅茶も麦茶も、別に冷水と熱水で変わることはありません。水出し茶の衛生管理の問題です。


刈込に茶の花にほふ十三夜         水原秋櫻子
咲くからに散り散らかしてお茶の花      飯島晴子
夕方がはや来茶の花日和かな        後藤比奈夫
寄りて見る茶の花の蕊うひうひし       山口誓子
日にようて茶の花をかぐ命かな        飯田蛇笏
茶の花に日月天衣無縫かな         後藤比奈夫

冬の日や喪服の妻に茶をすすめ        かずモン
今一度と初音待つ間の茶を点てる
虻払ひながら茶を飲む八雲庵
八窓の茶室出づれば姫椿
事務室に熱きお茶出る今朝の秋
金接の伊万里の茶碗冬座敷
正客へ俄仕込みの初茶湯
五味子茶の甘さ渋さよ冬の家