単身赴任かずモンのお弁当アーカイブ☆彡(0052)茄子の酢の物

茄子は脇役としていつも役立つ野菜です。茄子の紫色はナスニンというアントシアニン系の色素です。ナスニンは鉄分と結びつくと安定して鮮明になります。ぬか床に釘を入れる理由です。ナスニンは水に溶け出します。だから煮汁ごと食べます。

茄子を切って放置すると変色します。あくのためです。ナスニンもあくも植物に含まれる化学物質です。フィトケミカルと呼ばれます。植物が紫外線から身を守るために作られるのが、これらのフィトケミカル(色素、香り、あく)には抗酸化作用が認められています。

品種は数が多く、産地によっても多様で、日本では概ね70種類ほど、世界では1000種類あると言われています。農林水産省のウェブサイトにある写真を拝借しておきます。

折戸なすは静岡市清水区の伝統野菜で、2000年代に復活しました。初夢で縁起が良いとされる「一富士二鷹三茄子」の由来として伝わっています。

静岡市経済局商工部経済事務所大御所四百年祭推進室編『徳川家康と駿府大御所時代――図録・博物館』静岡市経済局商工部経済事務所大御所四百年祭推進室、2008年、という文献があります。
この中で、静岡県立農林環境専門職大学の丹羽康夫さんが、折戸茄子についてDNA型鑑定の結果など、伝学的な見地からの論考を執筆しています。

賀茂茄子などの一部、例外もありますが、日本においては南方ほど晩生の長実または大長実で、北方ほど早生の小実品種となると言われます。

茄子は油を吸収します。油で炒めるときに重要なことは、一度吸収した油が出てくるまで、じっくり炒めることです。甘辛く味付けすると食が進みます。

土佐では茄子のたたきを作ります。茄子を縦に4つくらいに長く切って、一面ずつじっくりとオリーブ油で焼きます。このとき、時間をかけてじっくり焼くのが重要です。味付けはお好みで、私は鰹節をたっぷりかけて薄い出汁汁をかけます。

茄子の出荷量の最も多い高知県では、茄子の酢の物もよく食べます。茄子を斜めに薄く切って、胡瓜も薄く切って一緒に塩で揉んで硬く絞ります。甘酢に入れて混ぜます。これも鰹節をたっぷり載せてもいいでしょう。

(0030)には茄子そうめんを紹介しました。これも夏にはよく食べます。

お弁当に入れる茄子は天麩羅にすることが多いかもしれません。いろいろの野菜と一緒に揚げます。


茄子の紺生かす殺すの廚ご       中原道夫
昼までは持ちさうな空茄子を植う    朝妻 力
首冷える庭先になる茄子たちも     坪内稔典
茄子漬けてなすべきことのなくなりぬ  小澤克己

変はりゆく街一隅の茄子の花      かずモン
ギリシヤではムサカがよろし秋茄子
茄子田楽皮ごと喰うて箸を置く
究極の画材となりし鴨茄子
祭壇の茄子に大小ありにけり