お弁当アーカイブ ☆彡(0038) 蛸

蛸は烏賊と同じで、目のある頭から足が出ています。胴は頭の後方にあります。このような体の構造から、これらの仲間は「頭足類」と呼ばれます。腕のある方が前方で、泳ぐ時には胴の方向、つまり後方へ向かって進んでいます。

昔、蛸の手を見つける方法と言って、先輩から教えてみらったのは、棒で叩くとそこへ持ってきたのが手であるということでしたが、ほんとでしょうか? やってみたことはありません。

蛸と烏賊の違いは、蛸は4対8本、烏賊は5対10本の腕を持つことです。次いで烏賊ににはミミ(ひれ)があり、蛸にはないことも思いつきますが、北の海には腕が8本しかない「タコイカ」という烏賊がいたり、深海にはメンダコというミミを持つ蛸がいたり例外があります。

吸盤の構造に違いが見られます。蛸の吸盤は筋肉の収縮で吸い付くように作用しますが、烏賊の吸盤には歯の付いた角質の環があり、それで引っ掛けて噛み付いて貼り付くように作用します。

蛸は世界中で約200種類が知られています。日本近海でも50種類以上が確認されています。食用となるのは海底に適応したマダコ科に属するものに限られます。明石蛸のようなブランドもあるマダコ、冷たい海にすみタコの仲間では最大となり体長3m、体重30kgにもなるミズダコ、冬期に米粒状の卵が詰まり美味しい小型のイイダコ、腕が特に長いテナガダコ、そして沖縄地方では最も普通に見られるワモンダコなどがあります。

マダコ科にはフグ毒と同じ猛毒の「テトロドトキシン」を持つ、ヒョウモンダコがいます。ヒョウモンダコに噛まれると、死亡することもあり非常に危険です。


環境省「せとうちネット」のウェブサイトより
https://www.env.go.jp/water/heisa/heisa_net/setouchiNet/seto/g1/g1chapter1/ikimono/tako.html

 マダコの卵塊(左)と、それを保護するメス(右)
(マダコの卵塊は藤の花に似ていることから「海藤花(かいとうげ)」とも呼ばれます。)

 
 


普段は縄張り意識が強いのですが、繁殖期にはそれが弱くなり雌と雄が繁殖行動を行います。瀬戸内海では9~10月が産卵の盛期です。

雌のマダコは、岩礁域の岩棚の下や岩穴などに、長さ10cmほどの房状になった卵の塊を幾つもぶら下げるように産み付けます。この卵塊1cm当たりに約100個の卵が含まれ、総産卵数は10~20万個にもなります。産卵後、雌は卵がふ化するまで約1か月間、絶食状態で卵を守ります。そして卵から稚蛸がふ出してしまうと衰弱死してしまいます。


「タコの最期は涙なくしては語れないほどに尊い 雄も雌も子孫を残す瞬間のために命を捧げる」(雑学:東洋経済オンライン)には、蛸の雌の様子がくわしく紹介されています。

https://toyokeizai.net/articles/-/295054?page=3

精進料理の寺では、酒は「般若湯」と呼びます。蛸は「天蓋」です。落語では、般若湯のあてに「天蓋を酢蛸にせよ」と住職が注文します。

蛸の足の茹でたのを買ってきて、斜めに1㎝幅に切ります。キッチンペーパーで水を拭き取ります。胡瓜をひと口サイズにの乱切りにします。バルサミコ酢大さじ1、オリーブオイル大さじ1、ハチミツ小さじ1/2を混ぜ合わせます。蛸と胡瓜を器に入れて、混ぜた調味料をかけて黒胡椒をふります。

 

 

わしづかみして大蛸を貰ひ来ぬ    宇多喜代子
塩竈のはつなつまずは蛸の足     高野ムツオ
大蛸のもぢやらもぢやらと近づき来   奥坂まや
若狭から麦藁蛸のよよと来し      大石悦子
飯蛸を炙る加減に口出せり      能村登四郎


スカートを拡げたやうに蛸を干す    かずモン
ビートルズ聞きながら噛む蛸の足
大鍋で飯蛸の荷を待ちてをり
梅雨晴や蛸壺を積む登り窯
飯蛸を噛みしめ昔話など
蛸壺に墨くろぐろと漁師の名