お弁当アーカイブ ☆彡(0037) 桑の実の季節  紫野和久傳のお弁当

桑の実はマルベリーとも言われ、とても栄養価の高い実です。

桑には葉を収穫するため、つまり養蚕用の山桑と、実の収穫が目的の西洋桑がありますが、日本の養蚕を行っていた地域には山桑の木が残っていて、それも美味しい実を付けます。

桑の実は、はじめは白く、やがて黄になり、赤くなり、ついに赤黒く熟すと美味しくなります。1つの木に、それらの各段階の実があるので、長く楽しめます。一度に食べられないように上手に熟れていく仕組みを持っているのです。

静岡県立大学薬草園のマグワ


黒い桑の実は、栄養価の大変高い果実で、古くから「薬草」や「長寿の薬」とも呼ばれています。スーパーフード、薬膳食材として注目を集めています。

ドライフルーツとしても売られています。日本ではクワといえばヤマグワを指し、薬草園にある桑はマグワで、薬用ではクワといえばマグワを指します。ヤマグワはマグワの代用品という位置付けです。

熟した桑の実は強い色と香りで鳥を誘います。この果肉にくるまれた種子は硬いのです。このような種子の散布を「被食散布」あるいは「周食散布」と呼びます。桑の実が一度に熟さず、少しずつ色を変えるのは、鳥によって少しずつ時間的にも空間的にも広い範囲に運ばれるという仕組みです。

桑の実には強い抗酸化作用があります。ポリフェノールが多く、ビタミンEも多く、可食部100gあたりの成分は、米国農務省国立栄養データベースに記載されている生のマルベリーの場合(五訂日本食品標準成分表には記載がない)、ビタミンEとCとが、それぞれ0.87mgと36.4mgです。また、カリウムが194mgあります。

中国では多少未熟で紅紫色の果実を桑椹(そうじん)といいます。焼酎(35度)1リットルに桑椹300gを漬け、冷暗所に3か月ほど保存して桑椹酒を作ります。低血圧、冷え症、不眠症などの滋養目的に、就寝前に盃1、2杯飲む。果実と根皮を35度の焼酎に漬けたものも飲まれています。

台湾には実を食べるための種類の桑があり、大きな実が収穫されます。道路沿いの飲料店では「桑椹汁」が買えます。桑の実のジャムも売っています。

韓国ではオディといいます。桑の実のジュースは缶入りのものもあり、カフェのメニューにもオディがあります。

紫野和久傳から、桑の茶が届きました。和久傳の故郷である京丹後で採れる桑の葉を生かして、身体にもよく、味もよく、食事にもあうお茶として製品化されています。くせのないすっきりした飲みごこちで、夏の暑い日に冷やして飲むのが大好きです。

2017年6月、「和久傳ノ森」に「森の中の家 安野光雅館」が開館した際、安野光雅がデザインしたパッケージがこの桑の茶のボトルに使われています。

京都駅の伊勢丹では、紫野和久傳の鯛飯弁当を売っています。このお弁当と桑の茶を持って、東北への旅行に出かけました。大きな鯛の身がきれいに載った鯛飯です。あっさりした飽きの来ない味が大好きです。おかずの味もとてもあっさりしています。京都の水で育まれた極上の味が詰まった弁当です。



旅先の陸奥では遠くの山に雪渓が見えていました。

 


桑の実の葉うらまばらに老樹かな   飯田蛇笏 
桑の実の紅しづかなる高嶺かな    飯田龍太
桑の実や擦り傷絶えぬ膝小僧    上田五千石

桑の実のジュースに続きマッコリを  かずモン
プラットホーム桑の実へ手を伸ばし
桑の実に届かぬ枝を引きくれし
ここからは階段国道桑いちご